桜景色を未来へ残す|桜を愛する思いで生まれた「桜の木の紙」

  1. HOME
  2. ブランディング
  3. 桜景色を未来へ残す|桜を愛する思いで生まれた「桜の木の紙」
公開日:2023/03/22 更新日:2024/01/24
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
桜景色を未来へ残す|桜を愛する思いで生まれた「桜の木の紙」

創業50年の印刷会社が提案する「気軽に取り組むSDGs!」Vol.13

この記事はプリントボーイが創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した記事となります。
記事で紹介しました環境に優しい用紙の実物を “お元気ですかはがき”としてご希望のお客様のお手元にお届けいたします。記事とあわせて是非ご覧ください。

お元気ですかはがき 隔月受取希望のお客様はこちらから

お元気ですかを受け取るバナー.png

お元気ですかバナー01.png

  • ESG、ESG投資に関心のある経営者の方
  • 社内SDGs推進プロジェクトメンバーの方
  • セミナー・研修企業の運営担当の方

お元気ですかバナー02.png

  • 地域貢献のヒントが見つかる
  • SDGsの取り組みアイディアが見つかる
  • 桜のあたらしい楽しみ方がわかる

▼ 気軽に取り組むSDGs!バックナンバー記事


古来より、日本では春の訪れの象徴として愛されてきた桜。開花時期は卒業や新生活などのスタートと重なるために、桜を見ることで新たな気持ちやワクワク感を覚える方も多いのではないでしょうか。
そんな桜ですが、定期的な間伐を怠ると病気になって枯れてしまうことも。間伐とは、日光を樹木に均等に当てるために、森林の混み具合に応じて樹木の一部を伐採し、残った木の成長を促す作業です。
日本の桜を代表するソメイヨシノは枝ぶりが横に広がる傾向が強く、間伐を行うことで木の成長を阻害せず、美しい桜の景観を維持することができます。
日本に寄り添う桜が似合う街として有名な市のひとつが、広島県尾道市です。お花見の名所は日本各地に数多く存在しますが、尾道市は桜を鑑賞するだけではなく、間伐材の再利用も行っています。今回は、桜を愛する尾道市から生まれた、「桜の木の紙」をご紹介いたします。

1.桜のまち 尾道

①画像.jpg

1-1.日本三大桜が揃う尾道(おのみち)市

歴史と文化が感じられる坂のまち・広島県、尾道市。尾道は「映画のまち」「猫のまち」「海と坂のまち」などとも呼ばれ、「東京物語」や、「尾道三部作・尾道新三部作」をはじめ、数多くの映画やドラマ、小説の舞台となっています。 日本で唯一、2年連続日本遺産に認定された街としても広く知られています。

そんな尾道市ですが、「桜のまち」としても有名です。「さくら名所100選」に選ばれている「千光寺公園」は、春には、園内の尾道市美術館の周りを囲むように咲く桜が見事で、毎年観光客が絶えません。公園内には約1500本の桜が咲き誇るだけでなく、福島県の三春滝桜(みはるたきざくら)、山梨県の山高神代桜(やまたかじんだいさくら)、岐阜県の根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)の「日本三大桜」の子孫樹がそろっています。一つの場所で三大桜の子孫樹がそろうのは珍しく、他にも黄色い花を咲かせる御衣黄桜(ぎょいこうざくら)や鬱金桜(うこんざくら)もあり、花見客の目を楽しませてくれます。この「日本三大桜」は、何十年も前からこの地にあるものではありません。

1-2. 桜を美しく保つためには?尾道市の取り組み

桜の寿命は一般的に60年程度といわれ、 樹齢30~40年程度で花の咲き方がピークとなり、その後は花の数が減っていくとされています。千光寺公園には今から90年以上前、1928年に昭和天皇の即位の記念として植樹されたという桜が現存しています。尾道市では、美しい桜を長く保つために、官民が連携して管理を行なってきた歴史があります。2003年度からは「サクラ保存事業」を本格的に始動し、毎年エリアごとに桜木の再生作業を進めていました。「市民や観光客に親しまれている千光寺公園の桜にもっと関心を持ってもらいたい」との想いから、尾道市では桜木の保存と育成をより推進するために「マイ桜制度」を2008年にスタートしました。

「マイ桜制度」とは、桜の保全を進めるため、管理者の団体や個人が割り当てられた 「マイ桜」を植樹し、行政と協働で管理を行う制度のことです。千光寺公園に現在ある桜はその樹齢から老朽化が進んでおり、尾道市が立てた桜の保存計画の1つにもなっています。

このように尾道市では、植樹による桜の再生事業を進めてきました。

 

2.桜を守るために

②画像.jpg

2-1.間伐で桜を守る

間伐とは、森林の混み具合に応じて、樹木の一部を伐採し、残った木の成長を促す作業です。間伐を行うと、光が地表に届くようになり、下層植生の発達が促進され、森林の持つ水源涵養機能、土砂災害防止機能、生物多様性保全機能などが増進します。また、残った木の成長が促されることにより、木材としての価値が高まります。
日本ではおよそ4割とされている育成林(人工林)において、自然もつ本来の循環(森林生態系)を保つために、森林を正しく保育・管理すべく、計画的な間伐や主伐が重要とされています。

2-2.間伐材の利用で桜を守る

間伐でどうしても発生する間伐材を有効利用しよう、という動きは年々高まっています。しかしながら、間伐材は必要なサイズの木材の調達が難しいという欠点があります。切り出した状態の無垢材としては使えないサイズのものも多く、通常で使用されている木材と比べると、使用用途が限られます。
そんな間伐材の利用方法の1つとして、木質バイオマス発電が挙げられます。研究途上の部分が多く、浸透はあまりしていませんが、進展すれば、以下の効果が期待できます。

・二酸化炭素吸収源


間伐をすることにより、枝が重ならず、枝1つ1つに日光が当たり、光合成することができます。間伐をし、十分に光を受けているときは、酸素を効率よく輩出し、二酸化炭素の吸収源として働きます。

・国産エネルギーの確保


日本は、エネルギー資源である石油・石炭・天然ガスのほとんどを輸入に頼っています。そのため、木質バイオマス発電が運用されれば、エネルギー自給率といわれる1次エネルギーの国産比率を高め、輸入に頼る石油・石炭など化石燃料の節約にもつながります。

地中深くに眠っていた石油などをエネルギーとして利用すると、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素が大気中に放出されてしまいます。木材を燃やしても化石燃料と同じように二酸化炭素が放出されますが、それは元々樹木が光合成によって吸収したものであり、大気中の二酸化炭素を新たに増加させません。木質バイオマスは、循環的に利用している限り持続的に再生可能な資源であるといえます。
現在木質バイオマスは、紙・パルプ工場内で電力や熱として利用されています。最近では、国内各地の製材工場などで、工場からでる端材やオガクズなどを燃料利用できる「木くず焚きボイラー」の導入が進み、木材乾燥や暖房などのエネルギー源として利用されています。
木質バイオマスで使用されている木質チップは、バイオマス発電以外にも、舗装や製紙にも使用されています。

2-3.誕生のきっかけ

尾道.png

出典:テレビ新広島 

観光、産業、そして鉄道や船舶交通が充実した尾道市は恵まれた存在です。しかし、新型コロナウイルスの影響で、観光客は3割減少しました。観光をテーマに「稼げるまちづくり」を目指している尾道市にとって、観光はとても重要な取り組みです。
倉庫を活用した複合商業施設や、歴史的な建築物を生かした空き家再生プロジェクトなど、全国的に注目される施策も多く、美しい自然や街並みに加えて、最近は「しまなみ海道」を中心にサイクリング愛好家の来訪も増加していました。
より多くの人に尾道市の魅力を伝えたいという思いから、尾道市長は観光PRの一環として、「名刺や印刷物に地元尾道の桜が使えないか」という依頼を、尾道市のある用紙メーカーに依頼しました。

 

3.尾道市の桜から生まれた完全再生紙

③画像.jpg

今回ご紹介する「桜の木の紙」は、広島県尾道市の桜をチップにし、古紙と混ぜ合わせた完全再生紙です。
桜は3~4月が見ごろになりますが、桜は定期的なメンテナンスを怠ると、見た目が悪くなるどころか、病気になって枯れる恐れもあります。そのメンテナンスとして行われる作業が間伐です。
そんな間伐で発生する間伐材を利用して、尾道市市長から相談を受けて誕生したのが「桜の木の紙」です。制作にあたり、尾三森林組合に桜の木チップ化の協力をいただきながら、紙の専門館SOHOタワー社が紙の開発をしました。

紙の特徴は、桜の木の間伐材30%、古紙70%の完全再生紙です。紙には、尾三森林組合で1回の間伐の際に出る間伐材の約3%程度の桜の木が含まれています。
また、印刷適性を持たせる為に、用紙の片面に、紙の表面の平滑度を高めるスーパーキャレン加工を施しています。 桜の木のチップが散りばめられており、触り心地は表面がつるつる・裏面はザラザラしています。薄い茶色で素材感を味わえます。

 

4.活用方法

SOHOタワー.jpg

提供:紙の専門館SOHOタワー社

尾道市長が尾道の魅力を発信するべく誕生させたのがこの「桜の木の紙」です。ほんのり桃色で春を感じられるこの紙は、卒業式・入学式などで配布されるパンフレット、新年度のあいさつのお葉書など、春に配布する資料や販促に最適です。

また、以前「気軽に取り組むSDGs!」シリーズでご紹介した、「グリーン電力用紙」や「Caffe Latte」、「越前和紙 ヨシ紙」などと組み合わせて使用すれば、四季を感じさせるような使い方も可能です。時期に合わせて使い分ければ、話題性も高まります。

▼四季を感じさせる環境に優しい紙はこちら

 

5.まとめ

④画像.jpg

桜を愛し、魅力をさらに発信したいと制作された「桜の木の紙」。このように、最近ではSDGsと街おこしを組み合わせた取り組みも増えてきました。

尾道市だけではなく、日本では「国産材が使われていない」という問題があります。海外の安価な木材を輸入し、日本の森林は間伐もされずに荒れ果ててしまっているところも少なくありません。

使われすぎて荒れている海外の森林。使われなくて荒れている日本の森林。春の訪れを感じながら、持続可能な社会に向け一歩進んでみませんか?

 プリントボーイでは、これまでもにんじんの皮で作られた「vegi-kami」、コーヒーカスで作られた「コーヒー再生紙 Caffe Latte」や、卵の殻が地球に優しく生まれかわった再生紙CaMISHELL®(カミシェル)をご紹介させていただいております。お客様の様々な課題に対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

メルマガ_問い合わせ_ボタン.png

▼ こちらもあわせてお読みください

▼ 参考サイト


当社はFSC® CoC認証を取得しています。当社のライセンス番号はFSC-C133621です。
We are certified to the FSC® CoC standard. Our license code is FSC-C133621.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CONTACT

お問い合わせ

当サイトについて気になることがありましたら
お気軽にお問合せください。

資料ダウンロード

オンラインセミナー・研修・イベントやアウトソーシングなど、
お役立ち情報が詰まったホワイトペーパーを配布しています!