
今回Vol.2でご紹介させていただく素材は、「LIMEX(ライメックス)」です。ホープン(旧社名:プリントボーイ)が印刷を行う素材は、「紙」だけではありません。
地球上に豊富に存在する資源である石灰石(Limestone)を原料とした素材、LIMEX(ライメックス)のご提案も増えて参りました。
この記事はホープン(旧社名:プリントボーイ)が創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した記事となっております。
記事で紹介しました環境に優しい用紙の実物を “お元気ですかはがき”としてご希望のお客様のお手元にお届けいたします。記事とあわせて是非ご覧ください。
- 企業・大学の広報の方、社内SDGs推進プロジェクトメンバーの方
- 製品企画を担当されている方、セミナー、研修企業の運営担当の方
- 今日から取り組める気軽なSDGsの目標達成の取り組みについて学べる
- LIMEX(ライメックス)を使った販促の方法のヒントが得られる
- パーパスブランディングのヒントが得られる
◆目次
1.石灰石生まれの新素材「LIMEX(ライメックス)」とは?
画像:(株)TBM社提供
1-1.LIMEXとは?日本発の環境配慮型新素材
LIMEX(ライメックス)は、日本企業「株式会社TBM」が開発した 石灰石を主原料とする新素材です。
紙やプラスチックの代替素材として活用され、SDGsや環境保護の観点から国内外で注目されています。
特に以下の理由から、LIMEXの活用が拡大しています。
・企業の環境対応ニーズが拡大 → SDGsやESG投資の影響で、多くの企業が環境配慮型の素材導入を検討。
・環境規制の強化 → プラスチック使用削減を求める規制が世界各国で導入。
・循環型社会の推進 → 3R(リデュース・リユース・リサイクル)を意識した製品開発が求められる。
1-2.LIMEXの原料「石灰石」とは?
LIMEXの主原料である 石灰石(Limestone) は、何億年も前に海底に堆積した サンゴや貝殻が長い年月をかけて岩石化したものです。
日本国内では 年間約1億7千万トンが生産 されており、資源小国とされる日本において 数少ない自給率100%の地下資源 でもあります。
さらに、石灰石は世界中に存在し、ほぼ無尽蔵とされるため、安定的な供給が可能です。
石灰石は、実は私たちの身近なところでも多く使われています。
・セメントの原料 → ビルや道路の建設に使用
・運動場の白線 → グラウンドのライン引きに活用
・食品添加物 → カルシウム補給源として利用
2.LIMEXを活用するメリット
2-1.加工がしやすく、リサイクル効率が高い
LIMEXは 炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上含む無機フィラー分散系の複合素材 で、以下のような特長があります。
・加工がしやすい → 既存のプラスチック成形設備で加工可能
・劣化しにくい → 熱を加えても物理特性を損なわず、再利用しやすい
・アップサイクル可能 → リサイクル後も高品質な製品に生まれ変わる
また、LIMEXは 世界40カ国以上で特許を取得 しており、UNIDO(国際連合工業開発機関)のサステナブル技術普及プラットフォーム に登録されています。
環境配慮型の素材として、国際的にも高い評価を受けています。
2-2.水資源と森林資源が節約できる
LIMEXは 紙やプラスチックの代替として利用 することで、環境への負荷を大幅に削減できます。
・紙の代替 → 木材パルプの使用量を削減し、森林伐採を防ぐ
・プラスチックの代替 → 石油使用量を削減し、CO₂排出を抑える
・製造時に水をほとんど使用しない → 水資源の保全 に貢献
一般的な紙を1トン生産するには、約 85トンの水 を必要としますが、LIMEXはほぼゼロに近い形で製造可能です。
そのため、水不足が深刻な地域でも 持続可能な資源活用 が実現できます。
2-3.3R(リデュース・リユース・リサイクル)にも貢献
LIMEXは 「3R(スリーアール)」の概念にも適合する環境配慮型素材です。
・リデュース(Reduce) → 水・石油・木材の使用量を削減
・リユース(Reuse) → 耐久性が高く、長期間の利用が可能
・リサイクル(Recycle) → 劣化しにくく、再資源化が容易
大量生産・大量消費の時代から 「長く使えるものを選び、再利用する時代へ」 。
LIMEXは、このサステナブルなライフスタイルを支える重要な素材として様々な場面で活用されています。
LIMEX(ライメックス)を製造するTBM社のSDGsへの取り組みを図解化したものは以下になります。
2-4.水不足問題の解決にも貢献
世界資源研究所(WRI)の 「Aqueduct Water Risk Atlas(2019)」 によると、世界人口の 4分の1が深刻な水ストレスに直面しています。
特に以下の地域では、深刻な水不足が課題となっています。
・中東・北アフリカ → 水資源が乏しく、ほぼすべての紙を輸入
・インド北部 → 地下水枯渇が進行し、農業や生活に大きな影響
LIMEXは 製造時にほぼ水を使用しないため、水不足地域でも 持続可能な製造・利用が可能です。
また、現地にLIMEX工場を建設することで、紙の輸入依存を減らし産業の自立を促すことができます。
2-5.新たな産業や雇用を生み出す可能性も
LIMEXは、環境配慮だけでなく、 新たな産業創出 や 雇用機会の拡大 にも貢献します。
・水資源が少ない国でも製造可能 → 紙の輸入に頼らず、自国生産が可能
・現地工場を建設することで雇用を創出 → 新たな職業機会を提供
・SDGsの目標に貢献 → 目標8「働きがいも経済成長も」、目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に寄与
LIMEXの普及は、環境・経済・社会の3つを支えることにもつながりますので、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。
▼TBM社のSDGsへの取り組み(Webサイトより引用)

3.LIMEXの多様な活用事例(プラスチックの代替から防災、アパレル業界など)
画像:(株)TBM社提供
LIMEX(ライメックス)は様々な業界でご活用いただけます。
以下にそれぞれの活用事例をご紹介いたしますのでご参考にしていただけましたら幸いです。
3-1.プラスチック製品の代替として活用
LIMEXは、プラスチックの代替として幅広い製品に利用できます。例えば、以下のような日用品や業務用品に活用されています。
・レジ袋やクリアファイル → 使い捨てプラスチック削減に貢献
・ホテルアメニティ → 環境に配慮したアメニティグッズへ
・プランターやボールペン → プラスチック製品からの切り替え
これにより、石油由来のプラスチック使用量を削減し、環境負荷を軽減ができます。
3-2.飲食業界での活用|水に強いメニュー表に最適
LIMEXは 耐水性に優れている ため、飲食店のメニュー表としてもおすすめです。
・水や汚れに強く、長期間使用可能
通常の紙製メニューは、水や油で汚れやすく頻繁に交換が必要ですが、
LIMEXで制作したメニュー表であれば、水拭きできるため衛生的に管理でき、長く使用できます。
・ラミネート不要で環境負荷を軽減
従来のメニュー表は、耐水性を持たせるためにラミネート加工を施すことが一般的でしたが、
ラミネート加工は廃棄時にリサイクルが難しく、環境負荷が高いという問題があります。
LIMEXを使用することで、ラミネート不要で耐久性を確保でき、サステナブルな選択をすることが可能です。
・デザインの自由度が高い
LIMEXは印刷適性が高く、紙のような質感を持ちながらも、耐久性と環境配慮を兼ね備えています。
そのため、高級感のあるメニュー表やブランドイメージに合わせたデザインも可能です。
飲食業界では コスト削減・環境配慮・衛生管理の向上 を同時に実現できる素材として、LIMEXを使用したメニューの導入が進んでいます。
3-3.防災グッズとしての活用
LIMEXは 水濡れに強いため、防災用途にも適しています。
・ハザードマップや防災マニュアル
通常の紙は水に弱く、豪雨や洪水の際に使えなくなることがありますが、
LIMEXを使用すれば、水に強い性質を持っているため、どんな天候でも情報をしっかり保持できます。
デジタルの情報は、電力がないと閲覧できませんが、LIMEXのハザードマップや防災マニュアルは、停電時でも使える情報ツールとして緊急時にも役立ちます。
またハザードマップの情報は定期的に更新が必要ですが、LIMEXならリサイクルして新たなマップを作成できるため、環境に配慮した防災対策が可能です。
3-4.アパレル業界での活用
アパレル業界では、リユース・シェア・サブスクリプションなどのサステナブルな取り組みが進んでいます。
その中で、LIMEXも環境に優しい素材として活用されています。
・紙製タグの代替
衣類や雑貨のタグには、素材情報や取り扱い方法が記載されています。従来の紙タグをLIMEX製にすることで、
①耐久性が向上 → 破れにくく長持ち
②リサイクル可能 → 使用後のタグを再利用し、新たなタグへ再生
③廃棄物削減 → ゴミを減らし、サステナブルな流れを作る
特に 若年層はSDGsを意識した消費行動を取る傾向が強いため、ブランドの環境配慮アピールにも効果的です。
3-5.企業の環境意識向上にも貢献
LIMEXは、企業の環境意識を高めるツールとしても活用できます。
・クレドブックや企業ガイドの素材
衣類や雑貨のタグには、素材情報や取り扱い方法が記載されています。
従来の紙タグをLIMEX製にすることで、社員や取引先に対して、
実際に触れる機会を作ることで環境意識につなげることができます。
デジタルデータでは伝わりにくい企業の価値観も、LIMEXのような実体のある素材を活用することでより強く印象づけることが可能です。
3-6.その他の活用事例
LIMEXの可能性はさらに広がっています。
・抗菌加工を施したマスクケース → 環境配慮×衛生対策の両立
・プラスチックファイルの代替 → 再利用できるLIMEX製ファイルへ
このように、LIMEXは 工夫次第で様々な製品に応用できる画期的な素材として、今後も新たな活用方法が期待されています。
4.まとめ
今回はLIMEX(ライメックス)についてご紹介をさせていただきました。LIMEX(ライメックス)は新たな素材であり、活用方法が次々と生み出されています。
デジタルで実現できることも、実体があるものだから実現できることもある中で、用途にあわせた素材や媒体の選択をすることが求められています。
製品に付属する情報、紙として手元においておきたい情報、間違いなく目を通してほしい情報など、印刷して伝えるべき情報をLIMEX(ライメックス)に乗せて伝えることで、ユーザーへの新たな価値提供にも繋がります。
SDGsの指標に対して、気軽に一歩を踏み出すために、お客さまとの接点にLIMEX(ライメックス)を使用することも、お試しいただけましたら幸いです。
ホープン(旧社名:プリントボーイ)では、LIMEX(ライメックス)を始めとする、お客様に合う素材を紙からご提案させていただいております。
その他には、環境に配慮したSDGsに繋がるノベルティ制作や、ブランディング推進のためのブランドムービーなどの動画制作など、コンテンツ制作でご支援させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
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▼参考サイト
- LIMEX|革命的な新素材(ライメックス)|株式会社TBM
- 鉱石部門|日鉄鉱業株式会社
- 石灰石Q&A|石灰石鉱業協会
- 日本規格協会は新たに石灰石が主原料の新素材LIMEXを対象とするJSA規格を開発、発行|PRTIMES
- 「石灰石」がこの世を変えるかもしれない、これだけの理由|ITmediaビジネスONLINE
- 3R政策|経済産業省