SDGsへの取り組みは世界全体で推奨されており、「SDGs」を意識した施策は多くの企業で実践されています。積極的に取り組む企業は高く評価され、信頼を得ることができます。
しかし、企業として取り組む意思はあっても、そもそもSDGsについて充分な理解ができていなければ、目標達成に繋がる施策は立てづらいのでは、と思います。
より効果的な施策を立て推進するためには、まずSDGsとは何か、取り組むことがどのようなメリットをもたらすかについて、ここではお話ししていきます。
1.SDGs(エスディージーズ)とは?
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。
外務省の定義によれば「”誰一人取り残さない”持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標」のこととされています。
環境破壊や人権の侵害、戦争や貧困などのさまざまな社会問題について一人ひとりが意識しながら、問題の解決や発展に向けて進んでいこうとするものです。
17の国際目標の下に169のターゲット、さらに232の指標が決められています。
では実際、SDGsはどのくらい認知されているのでしょうか?
2.SDGsの認知度
2019年の電通調べでは、「SDGsという言葉を知っている」と回答したのは全体で16.0%でした。
その内「SDGsを知っていて、目標に多く取り組んでいる(意識的実行層)」が6.5%、「SDGsは知っているが、取り組みはまだそれほど多くない(知識先行層)」9.5%となっています。「SDGsは知らなかったが、知らず知らずに多くの目標に取り組んでいた(無意識実行層)」も20.6%と多く、単語自体の認知率より高いという結果がでています。
今のところ、SDGsを取り入れている企業としては大企業が多いイメージが多いかもしれません。実際に東京産業労働局のデータによれば、従業員1,001人以上の企業では全体の78.3%が「SDGs について内容を把握しており、事業活動として取り組んでいる」と回答していますが、従業員100人未満の企業では10%を切っています。また、「SDGsについて何も知らない」と回答した企業の割合も約半数にのぼっていました。「言葉は知っているが内容までは知らない」という回答を含めると、約7割の企業が「SDGsについてほとんど知らない」状態となっています。
3.SDGsがもたらすメリット
SDGsは導入後、すぐの売上アップには繋がりにくい、という点で中小企業としては導入を敬遠する向きもあるのではないでしょうか。弊社も中小企業ですが、導入をする前には多少のハードルがありましたが、導入に踏み切りました。
中小企業がSDGsを導入することには、実はさまざまなメリットが期待できるのです。
3-1.企業価値が向上
SDGsに取り組んでいるというだけで「この企業は社会貢献や地域貢献にも取り組んでいる」という認知が広まり、この会社は前向きな会社だと周りから認知されます。つまり、企業価値の向上、ブランディングにも繋がります。
例えば、BtoC企業であればエンドユーザーからの商品やサービス選びのポイントの一つとなります。
一方BtoB企業であれば、取引先企業にとっても御社を利用することでSDGs推進に寄与することをアピールすることができます。また、ESG投資と呼ばれる、環境に配慮した銘柄へ積極的に投資をするような新たな投資スタイルにも対応でき、銘柄選定に対しても優位に働くことがあります。
3-2.ビジネスが生まれる可能性がある
SDGsに取り組んでいることが、取引先・パートナーを選ぶ基準となることがあります。例えば、自社で省エネを徹底している企業がエネルギーを無駄遣いしている企業を取引先に選べば、その取引先を選んだ企業のイメージが低下しかねません。
SDGsに取り組むことで、「SDGs」を共通言語として他企業に商品・サービスを提案することもできます。大企業をはじめとした、他企業とのビジネスチャンスの可能性があるのです。
▶関連記事:SDGsへの取り組みを加速する!|森を守るマーク FSC®認証の活用
3-3.採用で有利になる
先程のSDGs 認知度調査アンケートでは、第1回の同調査に比べ、「学生」の認知度が大幅に向上していたという結果が出ています。若い世代はフットワークが軽く、柔軟性も高く、社会貢献や地域貢献、環境問題などの社会的な活動に従事しやすい立場です。
こうした若年層の関心は就職や転職にも影響します。彼らが就職・転職するときに、SDGsに関心がなく、社会貢献や環境問題などに対する意識の低い企業はエントリー候補から外される可能性があります。SDGsに取り組んでいることをアピールすることができれば、採用シーンにおいても他企業との差別化を図ることができます。
▶関連記事:コロナ禍で見えた、新卒採用で学生から「企業が求められるもの」
3-4.中小企業だからこそ、あらゆる社員が参加できる
社員数が多い大企業などでSDGsを導入する際には、新しい部署が作られることがありますが、中小企業では専属して人をつける、部門を発足するといった取り組みはなかなか難しい事情もあるかと思います。
しかしその反面、さまざまな業務を行う部署・社員がSDGsに関わることができるのは中小企業の強みです。「その会社の独自取り組み」が生まれ、差別化にも繋がっていきます。
かといって、全ての目標に取り組むことは難しいと思われます。スタートは自社の状況により、とりかかりやすい目標に絞って進めることが定着するポイントです。かといって、全ての目標に取り組むことは難しいと思われます。スタートは自社の状況により、とりかかりやすい目標に絞って進めることが定着するポイントです。
取り組み内容によってSDGs国際目標の設定は変わりますが、ここで具体的を挙げてみましょう。
●リサイクル可能な食器(環境に優しい商品)の開発―商品開発部・製造部
→目標12「つくる責任つかう責任」
●SDGsの認知を高めて同じ理念を持つ取引先を開拓―営業部
→目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
●女性の雇用を守る取り組み―総務課
→目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
●FSC認証製品の取り扱い―製造部、営業部
→目標15「陸の豊かさも守ろう」
以上はほんの一例ですが、SDGsは企業全体で取り組める目標であることが分かるかと思います。
▶関連記事:業務効率化とは何か?SDGsや働き方改革との関係性についても解説!
まとめ
SDGsは抽象的かつ目標としては大き過ぎるというイメージもあり、社員にとってはなかなか自分ごととして行動することが難しいという側面もあります。しかし、アクションをより具体的、身近なレベルに落とし込んでいくことが大切です。仕事を通じて、自分が目標達成のために出来ることがあるというのは、社員のやりがいの向上にも繋がります。SDGsへの取り組みは企業イメージや売上アップだけでなく、社員のモチベーションアップにも効果的だと言えるのです。
企業規模に関係なく、自社のために、国のために、世界のために。
SDGs導入に向けて、取り組んでみてはいかがでしょうか。
▼合わせてお読みください
- 業務効率化とは何か?|SDGsや働き方改革との関係性についても解説
- SDGsへの取り組みを加速する!|森を守るマーク FSC®認証の活用
- テレワークにより加速化する業務改善!デジタル化がもたらす効果とは?
▼ 参考サイト
- 第2回「SDGs に関する生活者調査」 2019年|電通
- 都内企業等におけるSDGsの認知度・実態等に関する調査|東京都産業労働局
著者プロフィール
- BST編集部
- HOPEN(旧社名:PRINTBOY)の新規事業を企画・運営する部門がお届けする、業務改善お役立ち情報サイト”BST”の編集チームです。多種多様なメンバー+その時々のゲストメンバーで、皆様の日々の業務における”困った””わずらわしい””こうだったらいいのに”を解決する情報をお届けします!