創業54年の企画制作会社が提案する「気軽に取り組むSDGs!」Vol.10
この記事はホープン(旧社名:プリントボーイ)が創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した記事となります。記事で紹介しました環境に優しい用紙の実物を “お元気ですかはがき”としてご希望のお客様のお手元にお届けいたします。記事とあわせて是非ご覧ください。
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読書の秋、芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋!夏が終わり、過ごしやすい季節になりました。アクティブに活動することもできる季節ですが、喫茶店でコーヒーを片手にゆったり過ごす時間も素敵ですね。大手カフェチェーンは世界中に店舗網を広げ、今やコーヒーは世界中で消費されています。今や「コーヒー人口」は国や地域をまたいで増え続けています。そんな私たちの生活の身近な存在であるコーヒーが、2050年には飲めなくなるかもしれないといわれています。海外では認知されてきているこの「コーヒー2050年問題」は、日本ではあまり知られていません。今回はコーヒーカスの効果的な活用を通じて、サステイナブルな未来につながる、「コーヒー再生紙 Caffe Latte(カフェラッテ)」をご紹介させていただきます。
1.生活に欠かせない存在、コーヒーから生み出される問題とは
コーヒーは正式名称を「コーヒーノキ」といい、赤道を中心とした南北25度の地域でのみ栽培が可能な常緑樹です。インスタントコーヒーやレギュラーコーヒーは、コーヒー以外に何物も含まれていない混じりけのない純粋な自然飲料とされており、果物などと同様にカテゴライズされます。コーヒーに含まれている成分といえば、眠気覚ましや集中力の向上に効く「カフェイン」を思い浮かべる方も多いと思います。実はそれだけではありません。
コーヒーに含まれるポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」が最近注目を集めています。クロロゲン酸は、ダイエット効果、アンチエイジング効果、糖尿病の予防効果などがあると言われています。クロロゲン酸は体の中でフェルラ酸という成分に代謝されます。フェルラ酸は血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにしてくれるため、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ効果もあると考えられています。心身の健康にも役立っているコーヒーは、世界中で消費されています。
1-1.コーヒーはどのくらい消費されている?
さて、世界ではどのくらいコーヒーが消費されているかご存じですか?答えは、およそ 1,003万6千トンです。その中でも日本はEU、アメリカ、ブラジルに続き4番目に消費している国であり、年間では約45万3千トンも消費しています。これは1人が1週間あたり、約12杯飲んでいるという計算になります。
1-2.事業廃棄 ほかと違う廃棄問題
一方で、おいしいコーヒーが飲める裏では、コーヒーから出る大量の「ゴミ」が問題になっています。コーヒーの生産から消費の過程で排出される廃棄物は年間2,300万トンにものぼっています。特に抽出後に残る使用済みのコーヒー豆は、温室効果の高いメタンガスを生成することから環境問題にも発展しています。原因として、コーヒーカスに含まれる炭素と窒素が影響しているといわれています。窒素はもともと土壌に含まれており、微生物によっても分解されない性質を持っています。そのため、焼却したあと埋め立てされても分解されず土中に残ってしまうのです。
コーヒーカスはコーヒー1杯につきおよそ15g抽出されると言われています。仮に1日100杯ドリップコーヒーを淹れる喫茶店があるとすると、1日に出るコーヒーカスの量は1.3㎏、1ヶ月ではなんと約40kgのコーヒーカスが出る計算になります。 このコーヒーカスは喫茶店事業から排出される廃棄物の多くを占め、事業廃棄物として処理することになります。 事業廃棄物として処理されるコーヒーカスは水分を多く含んでおり、純粋なカス量の約2倍にまで膨れ上がります。
また、食品廃棄物を有効利用するための食品リサイクル法という観点からも、課題があります。平成31年度までに外食産業は事業廃棄物の50%をリサイクルする目標が定められました。コーヒーカスはコーヒーショップや喫茶店などでは毎日の食品廃棄物のほとんどを占めています。あるコーヒーメーカー会社の調査では、1ヶ月のコーヒーごみ処理費はフィルター代とほぼ同額かかっていることがわかりました。この点からも、コーヒーカスの再利用は欠かせない課題なのです。
2.コーヒー再生紙「Caffe Latte」
※GROUNDS合同会社様ご提供
今回ご紹介をする「Caffe Latte」は、そんなコーヒーカスを使用して、未来のコーヒーを守るために製作された用紙です。日本各地14店舗のコーヒーショップから買い取ったコーヒーカスを古紙やリサイクルクラフト紙と独自の配合で混抄(こんしょう)しています。
2‐2.廃棄の見直しに立ち上がった2人のバリスタ
この用紙を製作したのは、20代の若き現役大学生バリスタです。コーヒーが直面している数々の問題を知ってもらい、より身近に感じてもらうために、2020年に用紙開発に踏み切りました。大学生のため資金に問題がありましたが、クラウドファンディングにて支援を募り、見事完成をさせました。喫茶店でカス廃棄を目の前にしたとき、「捨てることの悪影響」に現実味を感じたことが立ち上がった大きな理由です。コーヒーカスの廃棄について調べていくうちに、「コーヒー2050年問題」にたどり着きました。
「コーヒー2050年問題」とは、地球温暖化により栽培に適さない土地が大幅に増加すると言われている問題のことです。このまま温暖化の影響を受け続ければ、2050年にはアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地は現在の50%にまで縮小すると言われています。最終的には現在コーヒー栽培に携わっている人たちの収入が減り、少なくとも今の農法や品種を維持したままコーヒーを栽培することが難しくなると考えられます。結果として、コーヒー栽培自体を諦めざるを得ない状況に追い込まれる生産者も増えていくと予想されます。すると資金的な体力のある大規模農園や、グローバル企業の契約農園でしかコーヒーは生産できなくなってしまい、現在私たちが楽しんでいるような多種多様なコーヒーは店頭から消え去ってしまう可能性があるのです。
若きバリスタはこの問題を深刻にとらえ、コーヒーの問題を身近に感じてほしいという思いから、抽出したコーヒーカスを再利用することを考えました。廃棄されるコーヒーカスを再利用することで、カスから発生する温室効果ガスの要因を絶ち温暖化を防ぐこと、またコーヒーカスで作られた用紙を使用することでコーヒー問題を身近に感じ、この問題解決につなげていこうと考えたのです。「すでに再利用が決まっているコーヒー」を飲むことが後押しに繋がります。
2‐3.生まれ変わってあなたのもとへ「“みえる”アップサイクル」
「再利用が決まっているコーヒー」での参加体験と合わせて、Café Latteには「みえるアップサイクル」という仕組みがあります。「いつ」「どこで」生まれたコーヒーカスなのか、すべて遡ることができるトレーサビリティが実現できます。世界中で生産されたコーヒーを紙として使用することで、「コーヒー」についてより身近に感じられるという工夫がなされています。また、売上の一部を食料支援団体に寄付しています。わたしたちが廃棄するものをリサイクルし、消費をすることで、世界中の人々への支援につながるのです。
3.Caffe Latteの活用シーン
※GROUNDS合同会社様ご提供
Caffe Latteは3種の紙があります。一般のコピー用紙に近い薄さを持つ普通紙、はがきにも対応できる厚紙、特殊な加工でいろいろな利用ができるしわのあるクレープ紙の3種があります。特にクレープ紙は、しわ加工のほかにラミネート加工をしていることもあり、水にめっぽう強い性質を持ちます。資料やパンフレットなどの紙以外の利用もできる特異な紙で、カフェラテのような優しい色合いと、カス粒がよくわかる素朴さが特徴です。
厚紙や普通紙は、あたたかみのあるおしゃれな色合い・肌触りを利用して、名刺やショップカードを作って優しさや柔らかさをアピールできます。飲食店舗などでのメニュー用紙やPOPに使用することによって環境への配慮や、統一感を持たせることで優しい・ナチュラルなブランドイメージを表現することができます。
また、再生紙という観点から、SDGs・サステイナブルをテーマにした会議等の資料や広報誌などでもご活用をいただき、資料の説得性を増す効果も期待できます。加えて、しわ加工・ラミネート加工という、再生紙では珍しい加工がされているクレープ紙は、通常の紙とは違い、強度・撥水性を兼ね備えています。
そのため、紙としてのご活用はもちろん、ポーチやブックカバーなど強度が求められるグッズ活用にも対応が可能です。雨にぬれてもほとんど問題がないため、トートバッグなどのノベルティにもご活用いただけます。会社のパンフレットなどをまとめてお入れして、環境配慮をした会社であるアピールを行っていただくことも効果的です。
4.コーヒーをいつまでも楽しむために
未来のコーヒーを守るために、消費や廃棄の見直しをできるだけカジュアルに伝えたい、人にも地球にもやさしい選択肢を提案していきたいと生まれたCafé Latte。事業廃棄物と聞くと少し深刻で難しい問題と聞こえてしまうかもしれませんが、こういったリサイクル・アップサイクル製品を知って利用することで削減に近づきます。コーヒーのようにあたたかみを感じる紙を通して、未来へつながるリレーへ参加しませんか?
私たちホープン(旧社名:プリントボーイ)は、紙のご紹介・活用の仕方をご提案させていただくことを通じて、社会のSDGs推進のお手伝いに取り組んでいます。気軽に取り組むSDGsとして、ツールづくりのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください!
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▼ 参考サイト
- Caffe Latte|GROUNDS合同会社
- コーヒー2050年問題|Standart Japan
- 全協海外情報496号 2021年10月21日|全日本コーヒー協会
- コーヒーの基礎知識|全日本コーヒー協会
- コーヒー2050年問題|KEYCOFFEE
- 世界のコーヒー豆生産量ランキング|松浜珈琲焙煎所
当社はFSC® CoC認証を取得しています。当社のライセンス番号はFSC-C133621です。
We are certified to the FSC® CoC standard. Our license code is FSC-C133621.
著者プロフィール
- BST編集部
- HOPEN(旧社名:PRINTBOY)の新規事業を企画・運営する部門がお届けする、業務改善お役立ち情報サイト”BST”の編集チームです。多種多様なメンバー+その時々のゲストメンバーで、皆様の日々の業務における”困った””わずらわしい””こうだったらいいのに”を解決する情報をお届けします!