オフィスチェアやデスク、パソコンから文房具類など、企業で使用するさまざまな備品。
業務に不可欠であるため適切かつ効果的な管理が求められますが、
「備品管理のコツがイマイチわからない」
「最も負担が小さい管理方法は何だろう」
と備品管理に関する疑問を常に抱き、最適な方法を模索し続ける担当者も少なくありません。
備品管理は、十分に行き届いていないと業務効率の低下につながることもあります。
そこで本記事では、備品管理で起きがちな問題のほか、備品管理の手順やコツなどを紹介します。
◆目次
1.そもそも備品管理はなぜ必要なのか?
備品管理は企業活動を円滑に進めていくうえで重要な取り組みです。その概要についてあらためて確認していきましょう。
1-1.備品管理とは
備品管理とは、社内で使用する備品の数や状態を把握できるよう管理することです。法人組織での備品管理のことを、物品管理とも呼びます。
社内で使う備品には、ボールペンや消しゴムといった文房具からデスク、パソコンなどの大型の物品も該当します。そのほか、医療現場で使用される医療消耗品や医療材料、医療器具、社外に持ち出されるリース用の撮影機材やモニター、プロジェクターなども備品に当てはまります。
これらの備品管理を日常業務に取り入れることで、過不足なく備品を用意でき、適切なタイミングで適切に使用できるようになります。
逆に、備品管理がしっかりできていないと物品にかかるコスト増やデータの紛失といった問題が起きやすくなります。備品の個数が把握できていないと、備品の過剰発注を招くほか、不足により業務に支障が出て作業効率の低下につながったりするため、効率的な備品管理が求められます。
1-2.在庫管理との違い
備品管理は、業務で消耗する物品が対象なのに対し、在庫管理は販売する製品や商品を対象にします。在庫は取引先に納入したり、販売で出荷したりするもののため、管理は備品同様に入念に行う必要があります。
1-3.備品管理をしっかり行うメリット
備品管理をしっかり行うことで、次のようなメリットが享受できます。
メリット①棚卸し業務が簡素化される
棚卸し業務とは、会社が所有している備品の個数をチェックする作業です。棚卸し業務は毎月または半期ごと、年に一度など定期的に行います。棚卸し業務は一日がかりで行うことも多い煩雑な仕事です。日ごろからこまめに管理することで、棚卸し当日、短時間で業務を終えられるようになります。
メリット②無駄な備品を購入せずにすむ
備品管理を普段からしっかりやっておけば、個数が把握できるため無駄な出費が確実に減ります。特に、ボールペンや付箋といった細かい文房具では、経費削減の効果が顕著に表れます。
メリット③備品の紛失が少なくなる
備品管理を行えば備品の紛失が減ります。また、備品の場所を普段から把握しておくと、紛失の発生の有無もすぐに気づけるので、素早い対応が可能になります。
2.備品管理で起きがちな問題
備品管理ではさまざまな問題が発生します。ありがちな問題を整理してみましょう。
2-1.物品の共有化ができない
備品管理が行き届いていないと、社内で物品の共有ができません。「誰がいつ備品を持ち出したのか」「どの備品を何個持ち出したのか」が把握できていないために、探し回ったり、見つけても壊れていたりするケースがあります。
備品は社内の共有物です。部署やフロア、組織内の人と物品が共有できないと備品が持つ本来の目的が損なわれてしまいます。
2-2.管理が甘く、不正利用や紛失があとを絶たない
管理の目が行き届いていないと、備品が社外に持ち出されるといったように、不正利用される可能性が高まります。また、紛失もあとを絶たないでしょう。これらの問題が発生するのは、持ち出し記録が取られていなかったり、備品管理の基準が曖昧になったりしているためで、管理する側がしっかりとしたルールを策定し周知する必要があります。
2-3.棚卸しに時間がかかる
備品管理のメリットとして、棚卸し時間の削減について触れましたが、逆に備品管理に問題があると、この棚卸しに時間がかかってしまいます。棚卸しに時間がかかると、本業に支障が出たり担当者の長時間労働につながったりします。
2-4.会計管理とリンクしておらず、監査で管理強化を指導される
「この備品にはいくら使ったのか」「備品に使える経費はいくらか」など、備品に充てられる費用と、会計のキャパシティが合っていないと、備品管理が甘くなり、第三者による監査で指摘されるケースがあります。
会計管理は企業の基幹業務のため、一度ミスがあったり改善事項が発生したりすると、本業にも悪影響を及ぼします。
2-5.物品を重複して購入してしまう
備品管理がうまくいっていないと、物品を重複して購入してしまうケースが出てくるでしょう。例えば、部署Aで購入していた物品が部署Bでも購入されていたといったミスが起きやすくなり、無駄な経費がかさんでしまいます。
3.備品管理の手順
続いて、備品管理の手順を紹介します。
3-1.備品管理台帳を作成する
備品管理を正しく行うためには、まず備品管理台帳を作成しましょう。備品管理台帳は、備品の数量や利用日、利用者を記したもので、備品の紛失防止に役立ちます。管理台帳には以下の項目を記載するとよいでしょう。
- 管理番号
- 物品名
- 種別
- 登録日
- 登録者
- 更新日
- 更新者
- 保管場所
- 利用状況
物品管理の台帳を作成することで、オフィスの備品を漏れなく管理できます。
物品を一元管理できるようになれば、不要品を廃棄したり、ほかの場所に移動させたりする作業もスムーズになります。
破損や紛失があった場合も、ひと目でわかるように確認項目の欄を設けておくとベターです。
3-2.備品の分類
備品を管理しやすくするために、物品を分類しましょう。どの業務に使用するかのカテゴリーや、使用する頻度によって分類しておくのがおすすめです。
分類したら、それぞれの物品にラベルテープを貼るなど、ラベリングしましょう。ラベルには備品の個体識別番号を記載し、さらにICタグやバーコード付きのラベルにすると、備品の取得日や保管している場所を把握しやすくなります。
3-3.棚卸し
必要な備品を買いそろえたり、不要な備品を廃棄したりする棚卸しは定期的に行うようにしましょう。こまめな棚卸しは、台帳に書き込んだ備品の情報と、実際の備品の状態との差異を埋めることにつながり、備品にまつわるミスを減らすことができます。
棚卸しを定期的にしておくことで、事前に紛失や破損、故障に気がつけるだけでなく、気づいた段階でメンテナンスや物品の交換がしやすくなります。
3-4.ルールや配置場所を社員に周知する
決めたルールは、社員に共有しておくことが重要です。備品管理は組織の少数のメンバーが徹底するだけでは成り立たず、全体で取り組まねばなりません。
会社で共通したルールを作っておくことで、現場の社員から備品管理の中核を担う経理担当者まで、ルールに基づいて備品管理ができるようになるでしょう。また、盗難や紛失といった事故も減らすことができます。
4.備品管理はいつ始めるべきか
備品管理をスタートするタイミングは、オフィスを移転したり、オフィスのレイアウトを変更したりする時が最適だとされています。これらのタイミングでは、企業側がさまざまな備品を一つひとつ確認し、不要な備品であれば処分するという業務が発生するためです。
また、備品の整理だけでなく、あとあとの備品管理に役立つ備品管理台帳の作成においてもベストなタイミングと言えるでしょう。
5.備品管理のコツ
ここからは、備品管理をさらにレベルアップさせるコツについて解説していきます。
5-1.購入から管理までの流れをフロー化する
備品管理を効率化するためには、必要な業務を書いたフロー図を作ってみましょう。フロー図は以下の流れが一般的だとされています。
見積もり→稟議(りんぎ)→発注→納品→検収→台帳入力→現物管理
5-2.備品の場所や使用者を明確にする
備品管理の目的は、「備品がどこにあるのか」と「備品は誰が使っているのか」を明確にすることです。備品の所在が明確であれば、備品を必要なときに使用でき、棚卸しにおいても有効になります。また、備品の使用状況がわかれば、備品の私物化を防ぐことができます。
5-3.備品の状態を定期的に確認する
備品は定期的に、壊れていないか、紛失していないかをチェックしましょう。その際、1週間に1回のように、チェックする頻度を決め、不備が発生しにくい仕組みを整えることが大切です。
6.備品管理を外注するのも選択肢のひとつ
備品管理は、収益に直結しない仕事である割に煩雑で時間がかかります。効率化を図る手法のひとつに専門業者への委託があります。
6-1.備品管理で外注する作業内容
外注先に備品管理を任せる場合の作業内容の一例は次のとおりです。
- 資産調査……現場で備品の情報(品名・型式など)を洗い出し、台帳を作成。
- 管理ラベル作成……備品の分類に必要な管理用のラベルを作成し、現物への貼り付け作業をする。
- 棚卸し代行……棚卸し作業の計画書を作成し、計画書に沿って棚卸しを実施。備品の確認や集計、作業報告書の作成も行う。
これらの業務を、必要な部分だけ委託するケースもあれば、一括して外注するケースもあります。自社の状況やニーズに応じて備品管理の委託をお願いするとよいでしょう。
6-2.備品管理を外注するメリット
備品管理を外注するメリットには、
- 備品管理にかかっていた手間や時間、コストを削減できる
- 人材やリソースの不足を補える
- ノウハウを持った業者に依頼することで、管理の質と精度が上がる
- 備品管理を可視化し、特定の人しかできないといった属人化を防げる
などがあります。また新型コロナウイルスの感染拡大を受け、棚卸し業務のように、複数の担当者がひとつの場所で同時に作業することが難しくなっています。
こうした状況でも、外注化することで課題が解決する場合があります。さまざまなメリットを把握したうえで、外注を検討しましょう。
6-3.外注にかかる費用
備品管理は、一般的に総務の代行費用に含まれているケースが主流です。ある企業では、個別の業務として資産調査が1点当たり300円、管理ラベル貼付が200円に設定されています。
そのうえで、1日当たりの作業時間(日中/夜間)、台帳が整備されているか否か、備品が台帳どおりに設置・収納されているか否かで、費用が変わります。業者側が請け負う作業量に変化が生じてしまうからです。
業者に委託する前に、コストを削減するために環境を整えておきましょう。
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7.まとめ
本記事では、備品管理の定義から起きがちな問題、さらには手順やコツについても解説してきました。
制作を要するクリエイティブ職や利益に直結する営業職などと比べ、備品管理は労務負担が小さいものの煩雑な業務であると同時に、必要不可欠であるのは確かです。
備品管理に困ったら、外部への業務委託をうまく取り入れると、問題解決につながります。
また、専門業者への備品管理の委託は、管理業務にかかる負担を軽減し、企業の働き方改革の推進も期待できます。
マルチな効果がある備品管理の委託を導入してみてはいかがでしょうか。
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