
さまざまな商品やサービスを、少しでも印象に残ってもらうために、さまざまな工夫を行いますが、その一つに「キャッチコピー」があります。
しかし、商品やサービスの魅力を一瞬で伝え、ターゲットの心を掴むキャッチコピーは、短い言葉ゆえに効果的なメッセージを考えるのは、簡単ではありません。
この記事では、キャッチコピーの歴史から、魅力的なキャッチコピーについて実際の事例を通じてどのような共通点があるのか解説します。
商品企画担当者やマーケティングに携わる方はもちろん、言葉の力を学びたいすべての人に役立つ内容となっているかと思いますので、ぜひご覧ください。
◆目次
1.キャッチコピーとは?
1-1.キャッチコピーの定義
「キャッチコピー」とは、消費者の関心を引くメッセージのことで、英語の「catch(キャッチ)」と「copy(コピー)」を組み合わせた和製英語です。
「注意を引くこと(catch)」と「広告文(copy)」を意味します。キャッチコピーを変えるだけで、売上が変わる場合もあります。
そのため、商品やサービスにおいて重要な要素であり、ターゲットの心をつかむ「言葉の魔法」と言われています。
1-2.キャッチコピーの歴史
キャッチコピーは、19世紀後半、新聞広告やポスターが普及し始めた頃に、商品の特徴を簡潔に伝える手段として使われるようになりました。
例えば、アメリカでは「You press the button, we do the rest.」(ボタンを押すだけ、あとはお任せ/コダック)というコピーが生まれ、カメラを専門家だけでなく一般の人々にも身近なものにしました。
日本でも、江戸時代からキャッチコピーの力を活用したプロモーションが存在しています。代表的な例が「土用の丑の日にうなぎを食べる」という習慣です。
実はこの習慣、自然に生まれたものではなく、平賀源内が考案したキャッチコピーがきっかけだったと言われています。
商売が低迷していたうなぎ屋に頼まれ、彼が「本日、土用の丑の日」と掲示したところ、店が繁盛し、この風習が定着したのです。
優れたキャッチコピーは単なる広告の一部にとどまらず、人々の行動や文化にまで影響を与えることがあります。
「土用の丑の日」を事例に解説した記事もご用意していますのでご興味がある方は以下の記事もご覧ください。
▼記事はこちら
「土用の丑の日」から学ぶ!コピーライティングを活用した売れる仕組みとは?
その後、20世紀に入ると、ラジオやテレビの普及とともにキャッチコピーも進化しました。
「Just Do It」(やるしかない/ナイキ)や「Think Different」(違いを考えよう/アップル)など、単なる商品の魅力を伝えるだけでなく、ブランドの哲学やライフスタイルを象徴する役割を持つようになっていきました。
企業が広告を通じて世の中にメッセージを発信するのは、単なる宣伝ではなく、明確な商業的な目的や戦略がありますが、どんなに優れた商品やサービスでも、まずは消費者の目に留まらなければ始まりません。
印象的なキャッチコピーは、単に認知度を高めるだけでなく、ブランドの個性を際立たせ、消費者の記憶に深く刻まれますので、驚きを与えるキーワードやユニークな表現を巧みに活用し、興味を引きつけることが大切です。
2.魅力的なキャッチコピーの特徴とは?
ここでは、印象に残りやすいキャッチコピーの特徴と特徴を踏まえた事例をご紹介します。
2-1.短くて覚えやすい
情報過多の時代において、広告が与えられる注目時間は、わずか「3〜5秒」と言われています。その短時間で消費者の心を掴むには、言葉を極限まで削ぎ落とし、最も伝えたい核心だけを残すことが大切です。
短い時間で心を掴むためには、「短くて覚えやすい」というシンプルさが命です。そのため文字数は、「5〜7単語程度」に収まるようにしましょう。
ミラーの法則(1956年)でも「短期記憶の容量は7±2個の情報が限界」という説がありますが、シンプルで短いキャッチコピーほど、頭に入りやすく記憶に残りやすい傾向があるといわれています。
人間の脳は、多くの情報を一度に処理するのが苦手という傾向もあるため、キャッチコピーを検討する際には「5〜7単語程度」の短さにするのがよいでしょう。
今回は、短くて覚えやすいキャッチコピーとして3つの事例をご紹介いたします。
①「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)
短い言葉の中で、旅行への衝動を喚起し、具体的な目的地まで提示している秀逸なコピーです。
▼詳細はこちら
そうだ 京都、行こう。 | 京都への旅行、観光スポットで京都遊び
②「お口の恋人。」(ロッテ)
商品への親近感を一言で伝え、シンプルな表現ながらも感情に訴えかけるキャッチコピーとなっています。
▼詳細はこちら
企業理念|ロッテについて|お口の恋人 ロッテ
③「うまい、やすい、はやい。」(吉野家)
シンプルな3つのキーワードで、ブランドの価値を一瞬で伝えています。
▼詳細はこちら
吉野家の歴史|株式会社吉野家
今回、事例としてご紹介したものは、短く覚えやすいだけでなく、ターゲットの感情や行動に結びつくメッセージが明確で、記憶に残る成功したキャッチコピーといえます。
2-2.感情を揺さぶるキーワードを使用している
キャッチコピーは、単に情報を伝えることではなく、人々の心を動かすことにあります。
そのため、感情に訴える言葉選びは、広告やマーケティングにおいて最も強力な武器のひとつです。
人間の行動の多くは、「感情」によって動機づけられています。感情に響く言葉は、以下の3点がポイントです。
- 共感を呼び起こす
ターゲットに「自分のことだ」と思わせるようにする - 想像力を刺激する
明確に描きすぎず、あえて余白を残しましょう - 心の琴線に触れる
驚きや喜び、郷愁、興奮といった感情を直接的に引き出す言葉を使う)」と良いとされているため、意識して選定するようにしましょう
「感情を揺さぶるキーワードを選定している、キャッチコピーの例として、3つの事例をご紹介いたします。
①「世界は誰かの仕事でできている。」(ジョージア・缶コーヒー)
日常の中で働く全ての人に向けたメッセージで、どんな職業の人でも「自分のために作られた」と
感じられるコピーとして、サラリーマンを中心に共感を呼んだ事例です。
▼商品情報はこちら
ジョージア|製品情報|日本コカ・コーラ株式会社
②「まだ、ここにない出会い。」(リクルート)
漠然とした未来への期待感を抱かせ、自分自身の可能性を
想像させるフレーズにすることで、感情に訴えています。
▼詳細はこちら
まだ、ここにない、出会い。 | 株式会社リクルート
③「いいことあるぞ、Mister Donut」(ダスキン・ミスタードーナツ(ミスド))
日常の中の小さな幸せや楽しみを表現し、商品を通じた
ポジティブな気持ちを伝えるキャッチコピーとして親しまれています。
▼詳細はこちら
ミスタードーナツの歴史|事業情報
これらのキャッチコピーは、共感、想像力の刺激、そして感情を揺さぶる力を兼ね備えており、消費者に強い印象を与える成功例として知られています。
2-3.インパクトがあるキーワードを使用している
先ほどご紹介したように、広告で人が注目する時間は わずか3〜5秒と言われるため、第一印象が勝負といえます。
そのため、ターゲットの注意を一瞬で引き付ける「インパクトがあるキーワード」を使うことが大切です。
ここでは、インパクトがあるキーワードを使っている成功事例として3つご紹介します。
①「翼をさずける。」(レッドブル)
「翼」という比喩的で大胆なキーワードが、商品の効果を瞬時に伝え印象的なキャッチコピーです。
このキャッチコピーは、エナジードリンクとしてのポジションを印象付けた成功事例となりました。
▼商品情報はこちら
Red Bull Energy Drink - 公式サイト
②「カラダにピース。」(カルピス)
健康や幸せを象徴する「ピース」という言葉で、飲むことで得られる満足感を印象的に伝えています。
▼詳細はこちら
カラダにピース。「カルピス」
③「NO MUSIC, NO LIFE.」(タワーレコード)
音楽が生活の一部であるというメッセージを端的に表現し、ターゲットとしている音楽好きの方に強い
共感を与えるキャッチコピーとして知られています。
▼詳細はこちら
No Music, No Life. – ノーミュージックノーライフ
キャッチコピーにおいて「インパクトのあるキーワード」を使うことは、消費者の記憶に残るため重要なポイントです。
力強い言葉、感情に響くフレーズ、意外性のある表現を取り入れることで、短い時間で最大の効果を生むことができますので、商品やブランドの魅力を引き出す「一言」を見つけることが、成功するキャッチコピーへの第一歩となります。
今回ご紹介した事例の他にも、様々な商品やサービスでキャッチコピーがありますので、心に刺さったキャッチコピーがどのようなものだったのかなど、探してみてはいかがでしょうか。
3.まとめ
キャッチコピーは、商品やサービスの魅力を最大限に引き出す「短く強い言葉」です。
「短さ」「感情への訴求」「インパクトのあるキーワード」という3つの柱を意識することで、消費者の記憶に残るキャッチコピーを生み出すことができます。
記事の中でご紹介しました成功事例をご参考に、キャッチコピーの素材となるフレーズが抽出できたら、ターゲットの心を動かすかどうかを考えながらキーワードを選定していきましょう。
キャッチコピーは、単なる言葉ではなく、ブランドや商品の価値そのものを象徴する存在になるため、今回の内容が、より魅力が伝わるキャッチコピー制作の参考になりましたら幸いです。
ホープンでは、キャッチコピーを踏まえたコンテンツ制作について企画からご提案が可能ですので、お気軽にご相談ください。
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- カラダにピース。「カルピス」
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