醸造過程で大量に廃棄されるモルト粕が再生紙に!クラフトビールを味わい尽くす、クラフトビールカード

醸造過程で大量に廃棄されるモルト粕が再生紙に!クラフトビールを味わい尽くす、クラフトビールカード

創業50年の印刷会社が提案する「気軽に取り組むSDGs!」Vol.7

この記事はプリントボーイが創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した記事となります。記事で紹介しました環境に優しい用紙の実物を “お元気ですかはがき”としてご希望のお客様のお手元にお届けいたします。記事とあわせて是非ご覧ください。

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  • SDGsを自組織に取り入れるヒントを得られる
  • 「クラフトビールカード」、「FSC認証紙」についての情報が得られる
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春本番の温かい日が続き、東京では平年より4日早く、昨年よりは6日ほど遅く桜が開花しました。コロナ禍以前はこの時期お花見でにぎわいを見せる季節でしたが、最近はご自宅でゆっくりと過ごされる方も増えていらっしゃるのではないかと思います。
「おうち時間」が増える中で、ますます人気に拍車がかかるのが、「クラフトビール」。

2021年1~9月にキリンが実施した調査によれば、コロナ禍で増えた「家飲み」需要の高まりも相まって、2021年1~9月の日本のクラフトビールの販売量は、前年同期に比べると約2倍にも増えています。
今やブームを超えて、文化として定着しつつある、クラフトビールですが、そのクラフトビールから生まれる副産物である「大量のモルト粕の廃棄」が長年問題になっていました。
そんなモルト粕を再利用した紙が、2021年の6月に誕生しました。

横浜のスタートアップ企業であるkitafuku社(キタフク)と、奈良県の老舗の用紙メーカーペーパル社が共同で開発した「クラフトビールペーパー」と「クラフトビールカード」。
廃棄物を減らし、循環型社会をつくる取り組みとして、今回は「クラフトビールカード」についてご紹介いたします。

▼FSC®認証の種類については、こちらの記事をご覧ください

SDGsへの取り組みを加速する!|森を守るマーク FSC®認証の活用

▼気軽に取り組むSDGs!バックナンバー記事

「気軽に取り組むSDGs!」Vol.5|東日本大震災から10年。塩害に負けない、復興への想い「東北コットンCoC」

「気軽に取り組むSDGs!」Vol.4|フードロス(食品ロス)をなくす挑戦!食べられなくなったお米が紙に生まれ変わる、「kome-kami(コメカミ)」

「気軽に取り組むSDGs!」Vol.3|フェアトレードの輪がつくる紙。アフリカ生まれのバナナペーパーって?

1.クラフトビールとは?

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1-1.クラフトビールが人気を集める背景

英語で「職人技」の意味を持つ「クラフト」という言葉に由来している通り
「醸造家の丁寧な仕込みを特徴の一つとする美味しいビール」の印象が強いクラフトビール。
クラフトビールが流行する以前には、一般的になじみの深いビールとは、大手企業が大規模工場で大量製造を行い、流通していたものでした。
クラフトビールは小規模な会社によって特徴的な方法により製造されたビールであり、醸造所(マイクロブルワリー)ごとに色や味わいに特徴がある、
個性的なビールのことを指します。全国地ビール醸造者協議会(JBA)が示す、クラフトビールの定義は以下の3つです。

  1. 大手メーカーから独立している
  2. 醸造者の管理が徹底されている
  3. 伝統的な製法を継承している

地域の特産品を原料にしている、あるいは伝統的な製法を継承しているため、地域や醸造所ごとに特徴が出やすいことが人気の理由でもあります。
1994年4月の「酒税法改正」により、改正前は、年間2,000キロリットル以上の生産・販売ができる企業でしかビールが作れなかったところ、法改正により年間60キロリットルでも可能となったことが、地ビールブーム、クラフトビールブームを後押ししました。クラフトビールには、「生産量が限られている」「そこでしか飲めない」「手造り感がある」といった希少性により、多くの方に愛されるようになりました。

ビールの材料となるのは、麦芽(モルト)、ホップ、酵母、水の4つ。スパイスやフルーツなどの副原料を組み合わせる場合もあり、この組み合わせ次第で、ビールの色や香り、味わいが決まると言われています。クラフトビールの醸造過程では、麦芽(モルト)を沸騰させ、麦汁だけがビールに使われます。
言い換えると、使われない廃棄物が麦芽から生まれます。これが後述の「モルト粕」です。

ブームを背景に、現在クラフトビールの醸造所は、日本各地に550箇所程(2022年2月時点)あり、様々な種類のクラフトビールが造られていますが、多い醸造所ではひと月に2,000㎏ものモルト粕が排出されることも。この「モルト粕」がビール業界を悩ませていました。環境への負荷がかかるだけでなく、廃棄に費用がかかることもあり、「コストカット(産業廃棄物の処理費用)」の観点からも関心を持たれていました。

2.本来廃棄されるモルト粕をアップサイクル、クラフトビールカードとは?

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画像引用:ペーパル社

2-1.クラフトビールカードが生まれたきっかけ

このような状況を打開するべく、異業種の企業がタッグを組み、新たな製品を生み出します。
モルト粕をアップサイクルして作られた「クラフトビールペーパー」です。現在はクラフトビールペーパーに、お元気ですかはがきで使用している、パッケージなどにもおすすめの厚手の紙「クラフトビールカード」が加わり、展開されています。

複数のクラフトビール醸造所が集まる横浜の地で、夫婦二人で創業したkitafuku社は、横浜市SDGs認証制度“Y-SDGs” を取得した横浜のスタートアップ企業です。横浜におけるSDGsに関連する課題として、食品ロスが多いことに着目しました。「廃棄になる食材からクラフトペーパーをつくりたい」という想いを実現するため、創業明治23年奈良県の老舗紙卸問屋「ペーパル」社協力のもと、生産者や飲食店、大学などとの共創を通じた地域貢献を目指しさまざまな活動を行う株式会社横浜ビール(以下、横浜ビール)とタッグを組み、開発が始まりました。

2-2.クラフトビールペーパー、カードを生み出す技術は「職人技」

ビール会社から提供された廃棄になるモルト粕を、製紙会社で乾燥・粉砕をして再生紙の材料に溶かして混ぜ込み、そこから裁断や加工をすることでクラフトビールカードが出来上がります。
単純に使用するモルトの量を増やせば再利用されることになり、環境配慮につながるかというと、そうではありません。紙として使いやすいかどうか、紙であるからには印刷ができるかどうかにこだわり、再利用された後の製品としての価値を高められるようにすることで、結果として多く流通し、取り組みが広まることになります。

プロジェクトは、『使われないとやる意味がない』と考え、紙としての使いやすさを追及していきました。素材感を残しながらも印刷に使えるクオリティはどこまでの配合比率になるのかを研究し、モルト粕の比率が6%という配合に至りました。
紙に異素材を混ぜ込む技術自体が難しく、またこうした取り組みに参画する企業もそう多くないことが現状である中、歴史と技術を持ち合わせながらフードロス削減のために独自の商品を作り出して来たペーパル社の協力により、「6%の配合のクラフトビールペーパー」が生まれることになりました。
クラフトビールが職人技のビールであるように、クラフトビールペーパー、クラフトビールカードもまた職人技の紙であると言えます。

▶ペーパル社が取り組むフードロスペーパーの取り組みは以下の記事からご覧いただけます
「気軽に取り組むSDGs!」Vol.4|フードロス(食品ロス)をなくす挑戦!食べられなくなったお米が紙に生まれ変わる、「kome-kami(コメカミ)」

2-3.クラフトビールカード FSとは

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画像引用:ペーパル社

2021年6月にクラフトビールペーパーが生まれ、その後2022年2月に誕生した新たな再生紙が、「クラフトビールカード‐FS」です。クラフトビールカードは丈夫で破れにくく、表面にほんのりモルト粕が残っていて、ビールの風合いを感じる味わい深い紙です。片面がツルツル、片面がざらざらしていて、ざらざらした面に印刷をするとオフセット印刷でも活版印刷のような滲みを出すことができ、手に取って眺めていたくなる紙です。コースターやショップカード、カレンダーなどに使用することがお勧めです。

クラフトビールカードFSは、たびたび当ブログでもご紹介させていただいている、「FSC認証」の用紙でもあります。FSC認証とは、持続可能的に森林管理が行われた木材とその製品を識別するために、製品生産に関わるあらゆる組織に与えられる認証のことです。このFSCのマークが入った製品を利用することで、私たち消費者は世界の森林保全を応援できる仕組みです。
用紙の品名の後にFSやCoCと記載があるものは、FSCⓇ認証紙です。環境に配慮した用紙を検討される際のポイントにしていただければと思います。

まとめ

これまで廃棄費用をかけ、処分されていたモルト粕が、よりよい製品として生まれ変わること。そうした「アップサイクリング(創造的再利用)」といわれる取り組みが注目されています。クラフトビールやブルワリー(醸造所)には、ファンが多く、美味しいビールを楽しまれている一方で、廃棄されるモルト粕に関心が集まっていました。
そうしたモルト粕が、異業種のコラボレーション・伝統と革新のコラボレーションにより、新たな価値のある商品が生まれました。クラフトビールは職人技をこらして作られ、クラフトビールペーパー、クラフトビールカードもまた伝統ある用紙メーカーの持つ職人技で生み出される。そんなストーリーも感じる用紙です。
廃棄されるモルト粕を減らし、貴重な資源である木材の利用を減らす取り組みにもつなげていくことができる。クラフトビールペーパーは、私たちの暮らしに自然にSDGsを採り入れるヒントとなるのではないでしょうか。
プリントボーイでは、このようなサステイナブルな仕組みへの理解を深めることにより、環境に負荷をかけない取り組みを進めています。今回ご紹介した「クラフトビールカード‐FS」を特別なお客様へのご案内などにご利用いただけたらと思っております。

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BST編集部
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