DX (デジタルトランスフォーメーション)の推進の必要性が叫ばれています。
「聞いたことがあるけれど、いまいち何のことだかわからない」
「自分の事業には関係ない」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。
DXは、今や日本でビジネスをする人全員が知っておくべき事象と言えます。
この記事では、DXが注目されている背景をはじめとして、その活用メリットや効果、導入する手順まで解説していきます。
DXとは何か
DXとは、Digital Transformation(=デジタルトランスフォーメーション)の略語です。スウェーデンの大学教授が提唱した「デジタル技術で人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」というコンセプトを起源として、今や世界のあらゆる業界でその重要性が説かれています。
「言葉の意味はわかっても、いまいちピンとこない…」。そのような人も多いかもしれません。
もう少し具体的にいうと、経済産業省が2018年12月に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
さらに簡単に言ってしまうと、「企業がデータとデジタル技術を駆使して、ビジネスに変革をもたらす」ことです。データとデジタル技術を活用しながら、仕事の業務・組織・プロセス・企業文化・風土従来を変えて、生産性の向上・コスト削減・時間短縮を目指そうという動きのことです。
DXが注目される背景
なぜ、今これほどまでにDXが注目されているのでしょうか。その背景について見てみましょう。
経済産業省の推測データの開示
DXが注目されている大きな原因として、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」の調査と議論の結果を公表したことが挙げられます。この調査では、国内におけるDXの遅れが与えるビジネスへの影響を、具体的な損失額を「2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」と明示されました。
一方で、DXを実現できた場合には、2030年において、実質GDP130兆円超の押上げが期待できるとされています。
このような経済産業省のデータの開示が、今国内で広くDXに注目が集まっている大きな理由のひとつとなります。
モノではなくサービスに対しての消費の増加
通信インフラが発達して、誰もがスマートフォンを持つことが当たり前になった現代においては、消費行動も多様化しています。例えば、一昔前であれば「音楽を購入する」ためには、CDやレコードを購入することが一般的でした。しかし、現代では、音源をWeb上で購入したり、あるいはサブスクリプションサービスへ加入したりと変容しています。つまり、製品を購入する消費から、サービス・情報を購入する消費へと変化しているのです。このような消費行動の変化に対応するためにも、DX化は欠かせないものと言えます。
SDGsとの関わり
SDGs(持続可能な開発目標)とDXは密接に関係しています。SDGsでは、全部で17のゴールが掲げられています。そのうち、特にDXと関係が深いのは「産業と技術革新の基盤をつくろう」「つくる責任つかう責任」という2つの目標でしょう。
初めに、「産業と技術革新の基盤を」作るためには、「インフラ整備」「持続可能な産業化」が必要とされています。「インフラ整備」には、道路や水のほか、情報通信、衛生施設などが生活に必要な基盤として含まれます。「持続可能な産業化」は、環境に配慮しながら、人々が十分な収入を得られるような産業作りです。これらの両立には、例えば情報通信網を広げる、環境に配慮してペーパーレス化を進めるなど、DXが欠かせません。
次に、「つくる責任とつかう責任」について、つくる側の責任の例としては「どこで生産されたのか」を明示すること、つかう側の責任の例としては、購入した商品がリサイクルできるかどうか、実際にリサイクルされているかどうかを知り選択をすることが挙げられます。この責任を果たすためには、つくる側は生産地を追跡できるよう、バーコードなどで入出荷や在庫管理をすること、つかう側は、自分で情報収集して商品を選択することが必要です。どちらの側に立っても、DXを用いて広められる情報が重要だということがわかります。
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DXの活用メリット
取り入れることでGDPの押上げに大きな期待が寄せられ、現代の消費行動に対応して企業を発展させるために必要不可欠なDX化。ここでは、より具体的なその活用メリットを見てみましょう。
業務の生産性が向上する
DXの導入は、ビジネスモデルの変革だけではなく、業務効率や生産性の向上を目的として推進している企業も少なくありません。後ほど詳しく紹介しますが、チャットボットやクラウドの導入によるペーパーレス化は比較的ハードルも低く、また時間・人員の削減につながるという成果も見えやすいです。
このように、明白な業務の効率・生産性向上が見えることがDXの大きな活用メリットです。
消費行動の変化に対応できる
上述の通り、DXが注目される背景として、人々の消費の対象がモノではなくサービスに変わっていることが挙げられます。しかし、DXを積極的に用いれば、このような技術に対応したサービスの展開も可能です。例えば、CD販売を主収益としていた大手レコード会社は、現在はストリーミングサービスへの進出など、DXに対応することで生き残りを図っています。
このように、変化するニーズを満たす新たな商品を用意することで、さらなるビジネスの発展につながる可能性もあります。
企業のシステム・ノウハウを確実に継承できる
企業の既存のシステムやノウハウを確実に維持継承していけることも、DX化のメリットのひとつです。企業という組織を運営していくためには、ルール・ノウハウを継承していく必要があります。
DX化を進めると、今まで紙ベースで行っていた資料の引継ぎやデータの蓄積をクラウド化することになるでしょう。そうすることで、保守コストの削減、業務効率の向上につながります。
また、仕事の手順・ノウハウも全て標準化してデジタルに落とし込むことで、業務が属人化してしまう心配もありません。
初めてのDX導入ステップ
「DX の重要性はわかったけれど、具体的に何をすればいいのか?」、そんな風に疑問に思う人も少なくないでしょう。ここでは、DXを初めて導入する企業が取り入れやすいステップを紹介します。
テレワーク
コロナウイルスの流行もあり、テレワークの導入を開始した企業も少なくないでしょう。インターネットを用いて、場所と時間を問わずに働けるようにするのが、テレワークです。
テレワークのメリットは、介護や子育てなど家庭と仕事を両立できること、移動時間を節約できることにあります。これらのメリットは、企業から見ても人員の長期雇用、オフィスの縮小という効果があります。
▶ おすすめ記事:テレワークにより加速化する業務改善!デジタル化がもたらす効果とは?
ペーパーレス化
最も取り組みやすいDX化はペーパーレス化でしょう。会議や契約書などの紙の書類をデータに置き換えることがペーパーレス化です。
上述のDXのメリットの「システム・ノウハウを確実に継承できる」という部分にも関わりますが、紙媒体の書類をPDFなどに置き換えるだけで、データの整理が簡単になり、管理業務も減るでしょう。
また、対面することのないテレワークにおいては書類のデジタル化は必須とも言えます。ペーパーレスを意識してみると、今までは無意識的に刷っていた会議資料なども、スライドに置き換えられることに気づくかもしれません。
当社では、まずは必要なものを必要なだけ印刷するオンデマンド化をするご支援が可能です。DX化の第一歩として、ぜひ気軽に一度ご相談ください。
まとめ
ここまで、DX(デジタルトランスフォーメーション)について解説してきました。DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、デジタル技術を活用して、業務の方法などを変えてゆくことです。
DXとは、業務の生産性向上、消費行動の変化への対応、システムやノウハウを確実に伝承できるなどのメリットがあります。
DX導入の最初のステップとして取り入れやすいこととしては、テレワークの導入やペーパーレスの推進などが挙げられます。このような、取り組みやすいことから開始すると、高いハードルを感じることなくDX化を進められるでしょう。
DX化に、本記事がご参考となれば幸いです。
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著者プロフィール
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