「新しいサービスを作ったので、オンラインセミナーで広めたい。けれど、集客や運営のノウハウがない」
ビジネスの最前線で戦うビジネスパーソンのなかには、そんな悩みを抱えている人も少なくありません。しかし、企業活動のオンライン化が進むなか、オンラインセミナーの成功の可否は担当者にとって死活問題になりかねません。そこで本記事では、資料作成や集客などの面から、オンラインセミナーを成功させるポイントを探ります。
1.オンラインセミナーの需要が高まっている背景
まず、なぜオンラインセミナーの需要が高まっているのか、その背景について説明します。
1-1.コロナ禍によるテレワークの普及・拡大
オンラインセミナーの需要が高まっているのは、ひとえに対面接触による感染確率が高い新型コロナウイルスが、人々のワークスタイルを変えたからです。
新型コロナが日本に上陸したのが確認されたのは2020年1月中旬。厚生労働省は、3月1日に「換気の悪い密閉空間」への外出を避けるよう国民に勧告を出したものの、集団感染が相次ぎ、4月7日に東京など7都府県、4月16日に全国を対象に緊急事態宣言が発令される事態になりました。
結果、官民問わず、さまざまなイベントやセミナーが中止。渡航や移動が制限されたことから、対面接触の回避、企業活動にもさまざまな制約が課されました。
こうした状況下で、セミナーや研修のオンライン化が急速に進みました。オンラインセミナーは、受講者が会場に集まらなくとも開催、受講ができ、主催者側、受講者側の双方で需要が上昇。リモートワーク全般の浸透も相まって、オンラインセミナーを活用する企業が増加の一途をたどっています。
1-2.セミナーをオンライン化するメリット
セミナーのオンライン化は企業活動に多くのメリットをもたらします。
まず、オンラインセミナーは、多数の見込み顧客にアプローチが可能です。特に、商談型のセミナーの場合、1対1、もしくは1対少数で受講者と接しますが、オンラインセミナーでは多数の受講者にまとめて情報を発信できます。また社員向けのセミナーにおいても、オンライン化することで、教育の均質化、習熟度の把握、時間や場所を問わず開催できるなどのメリットがあります。
実際の展示会・セミナー・研修と異なり、会議室の会場を用意する必要がなく、会場利用料がかからなくなります。社内外からセミナー開催のために多くの社員を招集する必要もなくなり、人件費や交通費も削減できます。
2.オンラインセミナーとオフラインセミナー(対面型)の違い
オンラインセミナーのメリットについて語りましたが、両者の違いについても整理しておきましょう。
2-1.集客面
オンラインセミナーは、会場周辺の見込み顧客が集客対象となるオフラインセミナー違い、場所の制限がないため、より広い範囲から集客できます。集客方法も、オフラインセミナーが名刺交換した人やチラシ、ダイレクトメールなど、オフライン集客がメインになるのに対し、オンラインセミナーは、SNS広告やポータルサイト、自社サイト、ブログなどを通じたオンライン集客が中心になります。
オンライン集客は、オフラインセミナーでも実施されます。しかし、オンラインセミナーは、見込み顧客がデジタル媒体に親しんでいる比率も高いことから、オンライン集客が軸に行われるのです。
2-2.資料
オンラインセミナーと違い、オフラインセミナーは紙の資料が配布されます。オフラインセミナーは、会場後方に座った人がスクリーンの文字が見えづらいことも多々あり、参加人数分の資料を配布することが求められます。
それに対し、オンラインセミナーは画面共有機能で資料共有が可能です。紙の資料配布を必要としないため、経費削減効果もあります。
2-3.時間配分
オンラインセミナーは、オフラインセミナーと比較して、時間配分への制約が少ないと言えます。会場で行われるオフラインセミナーは多くの場合、会場の開始・終了時刻が設定されており、時間内に終了させなければなりません。
一方、オンラインセミナーは、時間が許す限り開講時間を延ばすことができます。たとえ終了時間を超過しても、受講者がボタンひとつで離脱可能なうえ、あとで録音した音源を送ることでフォローができます。
結果として、時間配分に意識を置いたレジュメの作成や、経過時間の確認などを厳しく行うための手間やストレスが軽減されます。
3.オンラインセミナーの種類
オンラインセミナーは、大きく2種類に分かれます。
3-1.録画配信型
録画配信型は、撮影したセミナーの内容を編集して動画サイトにアップロードするものです。このタイプのオンラインセミナーは、録画後にネット配信専用に編集・加工ができ、主催者側で万全の準備ができます。
録画配信型は、編集でテンポよく仕上げたり、効果音やテロップなどを挿入することができます。構成や内容をしっかり練り込み、受講者に響く内容にしたいという人におすすめです。
また、受講者にとっても視聴する時間を調整できるほか、何度も見返せるというメリットがあります。
3-2.リアルタイム配信型
リアルタイム配信型は、ライブ形式で配信するタイプのオンラインセミナーです。
リアルタイム配信型は、編集を加えられないので、飽きさせない内容にすることやテンポを良くすることなど、主催者側のスキルが求められます。セミナーの構成や見せ方、配信ツールをよく吟味し、受講者に伝わりやすく仕上げなければなりません。
ただ、受講者からの質問やレスポンスなどに反応できるメリットがあり、会場型のオフラインセミナーと同レベルの臨場感を味わえます。
4.オンラインセミナーを成功させるポイント
オンラインセミナーを成功に導くためのポイントを説明します。ポイントを押さえることで、集客力アップにもつながるでしょう。
4-1.【ポイント1】コンセプトやターゲットを明確に
オンラインセミナーはコンセプトやターゲットを明確にすることが大切です。コンセプトが定まっていなければ、集めるべきターゲットが定まらず、集客がうまくいきません。
例えば、マーケティングスキルに関する内容を配信する場合、初心者向けなのか、上級者向けなのかなどを定める必要があります。困っている人が誰なのか、ペルソナを設定する必要があります。
コンセプトは具体的に以下の内容を定義すると定まります。
- ペルソナ:年代、性別、業種、職種、役職など、ターゲットの具体像です。
- オリジナルメソッド:学んだ内容をどう生かせるかの道筋です。例えば「セミナーで学んだ内容と今まで蓄積された知識を合わせたマーケティングスキルによって、確度の高い見込み顧客を多数獲得する」のような、具体的な方法を指します。
- ベネフィット:セミナーに参加すると具体的に何が得られるのかです。「マーケティングビジネスの新しいモデルがわかる」といったことが、ベネフィットに該当します。
コンセプトは、オンラインセミナーのキャッチコピーにもなるので、読む人の心に響くように設計しましょう。
4-2.【ポイント2】参加するうえでのメリットを提示
コンセプトが決まったら、次は、オンラインセミナーに参加することで得られるメリットを提示します。
セミナーはどういった人が対象で、視聴でどのようなメリットがもたらされるのか、どのようなコンテンツが盛り込まれているのか、セミナー講師はどのような人か、などを募集要項に入れ、ターゲットの参加意欲を促すことが必要です。
参加特典も考えるとよいでしょう。セミナーの内容に関係するモノやサービスを2種類以上用意し、セミナーの前後に渡すと効果的です。視聴後にも特典を渡すことで、最後まで視聴してもらいやすくなります。
4-3.【ポイント3】応募方法を簡単に
あまり意識が向かない部分ですが、申し込みフォームはわかりやすくしましょう。
受講者がフォームに個人情報を記入する際、無駄な欄があったり、フォームの配置が悪かったりすると、応募意欲がそがれてしまいます。
4-4.【ポイント4】開催前にリマインドを送る
オンラインセミナーの開催前に、リマインドメールが受講者に届くようにしましょう。
リマインドメールは、セミナー前日を目安に、セミナーの日付や会場、概要を通知するメールです。ドタキャンを減らす効果もあります。またリマインドメールは、前日だけでなく、1週間前、複数回に分けて送るのも効果的です。
なお、リマインドメールを送る際は、イベント管理ツールを使い、一括で予約配信するのがおすすめです。運営にかかる手間が減り、送信漏れや内容の記載ミスが起こりにくくなります。
4-5.【ポイント5】アンケートの実施
オンラインセミナーを開催したあとは、受講者からの感想を次回以降のセミナーに生かすために、アンケートを実施しましょう。
オンラインセミナーの参加を通じ、何を得たのか、どのくらい満足できたのか、商品購入や契約をする気持ちになった人は何人なのか、不満点や改善点はあったかなどを把握することで、今後オンラインセミナーを開くうえで内容の改善を図ることができます。
終了後にセミナー会場ですぐにフォローできるオフラインセミナーと違い、オンラインセミナーは受講者へのフォローが難しいだけに、アンケートが改善につながる鍵となります。ただ、アンケートの場合、セミナーの内容によって返信率が低い場合があるので、電話やメールでフォローするのもよいでしょう。
まとめ
オンラインセミナーは、オフラインセミナーとさまざまな点で違いますが、やり方を工夫すればオフライン以上に集客ができ、利益を上げられる可能性があります。コストを削減できるメリットがある点でも、オンラインセミナーの強みは大きいと言えます。
オンラインセミナーは、社内外のリソースをうまく利用し、イベント終了後のアンケートの実施・分析・改善を行いながらPDCAサイクルを回すことで成功確率を向上させることができます。本記事で学んだノウハウを学び実践してみてはいかがでしょうか。
▼こちらも合わせてお読みください
▼参考ページ
- 注目されているウェビナー(Webセミナーやオンラインセミナー)を採用フローで導入する際のポイント|MarkeTRUNK
- コロナ禍で根付く、新しい「学び」のカタチ。企業Webセミナーの需要高まる|Economic News
- ウェビナー(オンラインセミナー)とは?メリット・デメリットを解説|DS Magazine
- アフターコロナ(Withコロナ)で加速するオンラインセミナーとは?|営業ラボ
- webセミナーを開催する方法は?おすすめの配信ツールも紹介|Somethingfun!
- セミナーのリマインドメールで無断欠席を減らす。すぐに使える文例もご紹介。|マケフリ
著者プロフィール
- BST編集部
- HOPEN(旧社名:PRINTBOY)の新規事業を企画・運営する部門がお届けする、業務改善お役立ち情報サイト”BST”の編集チームです。多種多様なメンバー+その時々のゲストメンバーで、皆様の日々の業務における”困った””わずらわしい””こうだったらいいのに”を解決する情報をお届けします!