温故知新
~74才現役デザイナーのつぶやき~
皆様の会社に、社員を繋ぐ独自のコミュニケーションツールはありますか?
一般には以下のようなものがあるかと思われますが、該当するものはありますか?
- 読む、見る、聞くなどのメディアによるもの
(企業理念集、方針書、社内報、Web社内報、通達、掲示など) - リアルなコミュニケーションの場によるもの
(職場の集合、会議、懇談会、親睦会など) - イベント、行事によるもの
- 小集団活動、プロジェクト活動、改善提案によるもの
- 人事制度、教育研修、従業員意識調査
これらを用いる背景には、その会社の社員に対する思いがあり、その思いは「伝える内容」。
今風に言えば「コンテンツ」と言えるのだと思います。その思いをどうやって社員に効果的に伝えるか、つまりはツールの使い分けが重要となってきます。そのためにはそれぞれのコミュニケーションツールの特性を把握して、ツールを選択していくことが大切です。
コミュニケーションツールとして社内報の重要性
私は古い人間ですので、様々な社内コミュニケーションツールの中でも特に「社内報」が重要なツールであると考えています。その考えの元となるのは「社内報は会社の中枢神経である」とおっしゃった、リクルート創業者の江副浩正氏の言葉です。
私はこの言葉に会社の人の体に見立てて、体内に縦横無尽に張り巡らされた神経を社内のコミュニケーションルートだとすれば、その中で最も大事な中枢神経の役割が社内報なのだと感じました。
デザイナーとして社内報の制作で意識していること
随分と大げさな解釈に聞こえるかもしれませんが、私が社内報を刊行する際は、いつも「社内報は会社の中枢神経である」の言葉を思い出し、下記のような仕掛けを意識して制作しています。
- 経営の方針を社員に直接伝える
→ 目標の共有 - 経営に関する情報をタイムリーに伝える
→ 情報の公開・共有 - 社員に刺激を与える、考えさせる、学ばせる
→ 教育の場 - 企業文化、企業風土を育て、継承する
→ 風通しのよい、活力ある風土づくり
このような仕掛けを組む理由としては、やはり社内報が会社や社員のモチベーションアップのためのツールとして、有効な社内コミュニケーションのツールとなり得る役割を持っているからであり、そのための「読まれる社内報」にするための工夫が必要だからです。
マーケティングの視点で言えば、読者である社員が、仕事のうえで「何に悩み」「どんな不安を抱えているのか」「どんな気持ちで仕事をしているのか」あるいは「どんな情報を知りたがっているのか」逆に「どのようなことを知らせたがっているのか」等。当たり前のことではありますが、社員の気持ちを把握することも重要です。
社員に対する思いのこもったコンテンツづくり
これらを踏まえ、社内報において一般的に重点が置かれている企画・コンテンツはどのようなものがあるのかを以下に記載してみます。
- トップメッセージ、経営方針
- 会社のニュース、イベントの紹介
- 社内コミュニケーション
- 部署、職場紹介
- 人物紹介
- CSR・社会貢献・環境・地域とのつながり
- 新技術、新商品の紹介
- 組織の活性化、チームワーク
- 企業文化、社風
- プロジェクト紹介
- 社員の意識改革
- コンプライアンス、法務関係 他
ぱっと見でのワクワク感は薄いですが、その会社の社員からすれば「知りたい情報」が溢れていると思います。
それはひとえに以下のような『社員に対する思い』がコンテンツに込められているからなのだと思います。
- 経営方針の伝達・浸透・共有
- 事業部門、グループ内会社の情報共有、ナレッジ共有
- 組織の求心力・一体感・つながりを醸成するための情報交換
- 社内の課題解決のきっかけづくり
- 現場の実態や社員の気持ちを経営陣に伝える
- 社内のヒーローの発掘
- 社員のモチベーションアップ、スキルアップ
- 顧客、社会、関連会社など、外部からの情報のフィードバック
まとめ
たかが社内報、なかなか外には出ない内輪のツール。担当者様にとっては大変に悩ましいものです、通常業務の片手間に作業されるのであれば、時に手を抜きたいこともあるでしょう。それでも、ここまで述べてきた「社員にもたらす可能性のある効果」を考え、会社の目となり声となって代弁する。これは非常に重要なポジションです。
例えるなら1,000人に「一瞬見られる広告」を作るデザイナーより、数十人に「じっくり読まれる社内報」を作る方が「読み手に与える影響」は強く、またやり甲斐という視点で比較しても、個人的には後者の方が勝っているように感じます。社内報は熱意と信念を持って取り組める仕事です、ご担当者様、お互いに頑張ってゆきましょう。
最後に、弊社プリントボーイも<以心伝心>というネーミングの社内報を1980年10月1日の創刊号から、約40年間に渡り通算500号以上を発行していますので、ご紹介させていただきます。
※一部に社外秘がありますので、ぼかし加工させていただきました。
1980~1990年のモノクロ印刷Ver.
1995年~カラー印刷Ver.
2020年~電子化 PDFVer.
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