日本の初代コピーライターは誰?

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公開日:2020/09/25 更新日:2024/09/30
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日本の初代コピーライターは誰?

温故知新
~74才現役デザイナーのつぶやき~


デザイン素材で視覚に訴える素材(絵:イラストカット、写真、色など)に対して、頭脳(知覚)、また心(感情)に訴える素材の一つがコピー(文章)です。
目を引くことに加えて、行動を喚起するために、言葉=コピーは重要な要素です。そのコピーを考える職業はコピーライターで、日本のコピーライター第一号は・・・と考えると、江戸時代の蘭学者、平賀源内かもしれません。

今から190年くらい前のこと。昔は夏場、こってりと脂が乗ったウナギは売れず、知人であるウナギ屋に相談を受けた平賀源内。

奈良時代の頃すでに夏の土用に栄養あるウナギを食べて夏痩せを防いだ故事を思い出し、「今日は土用の丑の日」という看板を書いてウナギ屋の店頭に出したとか!?平賀源内の保証付きということで、たちまち噂は町内に広まり、ウナギ屋は大繁盛。他のウナギ屋も、こぞってこれを真似た、と言われています。

それにしても、何の関係もない「丑の日」と、「ウナギ」とを結びつけてしまった彼。なかなかのアイディアマンであり、コピーライターだったようですね。そして約190年の時を経て、その視覚と知覚とをひとつに表現した広告に出会いました。(私の私見です)

”かわることを、おもしろがろう。”をキャッチコピーにした広告!

令和になってはじめての正月(2020年1月1日)の新聞広告で、出版企業<集英社>の全15段のシリーズ広告です。「かわることを、おもしろがろう。」というキャッチコピーのもと、逆さまにすると別の言葉に見える「アンビグラム」の技法を活用した書と、漫画『ONE PIECE』のキャラクターやモデルの清原果耶、小説家の朝井リョウなどを起用し、新聞各社で異なるキーメッセージを使用したアイディアで、話題を呼びました。

各社ごとの広告を見てみましょう。

【コラム・温故知新】日本の初代コピーライターは誰?①.jpg【コラム・温故知新】日本の初代コピーライターは誰?②.jpg【コラム・温故知新】日本の初代コピーライターは誰?③.jpg【コラム・温故知新】日本の初代コピーライターは誰?➃.jpg【コラム・温故知新】日本の初代コピーライターは誰?⑤.jpg

日経新聞に掲載の、コピーを書き起こしてそれぞれの要素をみていきたいと思います。

①メインビジュアル:
毛筆文字の ”変革” と ”原点”

②キャッチコピー:
共通のメッセージ、 ”かわることを、おもしろがろう”

③ボディコピー:
どんなに時代が変わっても、
集英社の根本にあるのは、
「良質な作品を世に送り出す」こと。

心躍る冒険を。胸打つ物語を。輝く表情を。
もっとすばやく、便利に届けるために。
本と電子版。いままでの編集力と
あたらしい技術を駆使して、前進していく。

変革できるのは、ブレない原点があるから。
2020年。集英社は、進化していきます。

 

①の「変革」は一見すると読みづらい毛筆文字ですが、個性的でそれだけで<目を引く効果:視覚訴求効果>があります。そして、そのまま紙面を反対にすることで現れる「原点」に気づくことで、さらにインパクトとともに目を引きます。

②のキャッチコピーは、集英社が、変化に対して恐れず、逆にその変化を楽しく、おもしろく考える企業であることを発信している、<気を引く効果:知覚訴求効果>があります。そしてそれは、①のコピーの反転のギミックが加わることで更に説得力を増しています。

③のボディコピーを読んでいくと、集英社の新しい時代<次代>に対しての、企業メッセージ<想い>を発信しています。ここでも、さらに<気を引く効果:考えさせる効果>があります。

まとめ

これら①~③の情報が視覚を誘導し、まさにコミュニケ―ション効果を高める<目を引く効果:視覚訴求効果><気を引く効果:知覚訴求効果>のある、素晴らしい広告です。集英社や、今後の出版ビジネスが、コンテンツの時代に即して変化していくことを表現するとともに、これまで大切にしてきたこと、これからチャレンジしていきたいことを表現した、企業としての次代の顧客に対してのメッセージも明確に伝えている、共鳴する広告でもあります。

このように企業のメッセージ<想い>を伝える広告は、ユーザーの気を引き、行動を促しますが、そのためには導入としての目を引く効果も非常に重要です。平賀源内がウナギの広告で人々の関心を引いたエピソードも、最初に目に留まったことは「土用の丑の日」という看板が目についたことから始まったのではと思いますので、目を引き、気を引くコンテンツづくりを、続けていきたいと思います。

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BST編集部
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