はじめまして!プリントボーイの映像ディレクターSです。
今年もやってまいりました、Inter BEE2022(インタービー 2022)!ご存じですか?
Inter BEEとは、日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展として、コンテンツビジネスにかかわる最新のイノベーションが国内外から一堂に会する国際展示会です。なんと今年で58回目の開催になります。
長らく映像のプロとして活動してきた私としては毎年目が離せないイベントであり、これからの映像表現のトレンドや最新技術、それらを複合したコミュニケーションなど、たくさんの想像を掻き立てる3日間でした。
そのため、本記事は新たなコミュニケーションの形を探求する皆様にとって必見の内容になっております。
この記事では、そんな映像ディレクターとしての目線も交えた今回のInter BEE2022のレポートを報告致します!
1.InterBEEとは?
1-1.放送、音響、通信のプロユース機材が集う祭典
InterBEEという名前は、International Broadcast Equipment Exhibitionの略で、国際放送機器展のことです。
1965年に始まり、今年で58回目を迎えました。
名前の通り放送機器を中心とした展示会であり、巨大な業務用カメラがずらっと並び、コンサート会場で使うような大規模なスピーカーシステムが展示されるなど、テレビ局や通信事業者、音響会社などが集まる業界向け展示会という側面が強い、専門性の高いイベントでした。
新型コロナウイルスの影響もありオンラインのみの開催がされた年もありましたが、むしろその影響もあって、近年ではテレビ局や映像職人のような人たち向けの祭典といったイメージから、WEB会議向けのオンラインコミュニケーションツール、AR VRデバイスなど一般の人にも興味や関心が浸透したツールの展示が目立つようになってきました。
2.業務改善お役立ちメディア的に気になる展示内容
前述のようにプロにしかわからない世界、といった側面から変革し、Inter BEE2022では一般の方の参加者もかなり目立つようになってきました。
カメラや音響、通信にまつわる国内最大級の展示会ということで、「最新のトレンドをいち早く知りたい!」という人や「会社でのオンライン会議の質を高めたい」といった需要にもオープンな空間だったように思えます。
ここからは映像ディレクターSが気になった展示や、今回の展示の傾向からみる今後のオンラインコミュニケーションのあり方の予測なども交えつつ、取材レポートをお送りいたします。
2-1.アナログな発想とデジタルの融合
今回の展示においてよく目にした展示の一つが、巨大なLEDディスプレイとインカメラVFX技術による組み合わせです。
VFXというのは「Visual Effects(視覚効果)」の略称で、リアルの世界では見ることができない映像の演出をするために使われている技術のことです。
そして冒頭で触れたインカメラVFXとは、映像の撮影中にリアルタイムでビジュアルエフェクトを撮影するための新しい手法です。インカメラVFXの主な目的は、グリーンバックでの合成の必要をなくし、最終的撮影イメージをカメラ内で作成できるようにすることです…
…と、少し難しい言葉で説明してしまいました。
わかりやすくこちらを説明すると、今までグリーンバックを背景に合成していた映像を、これからは巨大なディスプレイを使って実際に映し出してしまおう!という、とってもアナログな考え方の最新技術です。
実際の展示を見てみましょう。こちらの女性が写っているシーン、実は
巨大なディスプレイを背景にして撮影されています。
映画の世界でもそうなのですが、皆様がご存じの人物とのCG合成撮影というのは、グリーン(ブルー)スクリーンの大きなスタジオで撮影されることが多く、演じる役者さんや監督自身も、CG合成の編集が終わるまでどんな仕上がりになるのか想像しにくいという欠点がありました。
これは巨大なディスプレイを製造するコストが昔に比べて大幅に減ったことや、ディスプレイそのものの解像感の向上、何よりもカメラで写したときに破綻しないシステムが実現させている技術です。
2-2.BST的 VFX技術の今後の発展予想
BSTとしては、この最新技術が今後どのように業務に関わってくるのかを想像していきたいと思います。
テレワークやオンライン会議の普及により、皆様もZoomなどのオンライン会議ツールでご自身の参加時の背景に困ったことはありませんでしょうか?
もちろん、現状のオンライン会議ツールにも高度な合成テンプレートがあるため、背景に部屋の中が写らないようぼかしたり、画像と合成して参加することはできました。
Inter BEE2022で展示されていたVFXインカメラの技術がより一般にも普及した場合、皆様のオフィスやご家庭でも、オンライン会議の背景を探さずに済む日が来るかもしれません。また、日々のプレゼンテーションや発表、会議においてよりダイナミックに資料を提示する等、参加者への臨場感ある視覚体験を提供できるようになります。
2-3.ディスプレイとVRの境界?最新技術のディスプレイ
Lian Tronics社のグループであるEsdlumen社は、LEDディスプレイの研究開発と製造を専門にしている会社です。「世界の美しさを展示する」を理念に掲げるこの会社は、錯視効果を用いた立体ディスプレイを展示していました。
錯視効果を用いたディスプレイの立体表示は、特別なデバイスなどを視聴者が用意する必要がなく、VRのような立体効果を見せることができます。AR、VR分野の発展もめざましい現在ですが、こちらはまだまだ専用デバイスの用意が必要であるなど課題が多く、一般への浸透はもう少し先になりそうです。
そんな中でのこのような立体ディスプレイの表現の可能性は、今後ますますの発展が期待できる分野であり、ゆくゆくはアミューズメント目的だけでなく、プレゼンテーションや発表会の場においての活用が始まる、と私は予感しています。
2-4.くまなくスキャンしてリアルなアバターでメタバースに飛び込む?
こちらはLUMIO 3D社の製品である「H3 3D FACE SCANNER」という製品です。このドームの中には16台のカメラと8600個のLEDライトが組み込まれており、顔を中に入れてスキャンすることによって様々なアングルから立体的に顔を抽出します。
スキャンされた顔のデータはアプリケーションを使うことで表情を変えたり、顔のパーツを変形させたりすることが可能です。そのため本来は美容医療系の分野での使用目的が多く、整形後の顔のイメージなどを提示するのに利用されているそうです。
ですが、昨今ではこの技術が別の分野での活用で注目されつつあります。
そう、メタバースです。
アバターを作成し仮想空間で様々なコミュニケーションやイベントを行えることで注目されているメタバースですが、現状のメタバース空間ではキャラクター、つまり本人とは違った姿で参加するタイプのものが一般的です。
ですがこの3Dスキャンを使用することで、生身の表情や感情をリアルに再現し、メタバース上でアバターを作成することができます。
キャラクターを演じることができ、普段の自分とは違った一面や才能を発揮できるなど、本人とは違う姿での活動やコミュニケーションにも利点はあります。
ですがビジネスシーンを考えたとき、演じることができるキャラクターは信用性という点で現実世界には及ばない部分があります。
もし今後メタバース上での商談や発表会などが行われる時代になったときに、生身とキャラクターの2種類を使い分ける、というような働き方をする人も出てくるかもしれません。
まとめ
ここまで、InterBEE2022で発表された最新のテクノロジーを、映像ディレクターとビジネスへの活用の観点でご紹介してまいりました。
InterBEEで発表される最新の技術は、表現やコミュニケーションにおいての今後の可能性を大きく期待させてくれるものばかりで、どうやってビジネスに利用されるのか、どのように活用されるのかなど想像が膨らみます。
最新の技術をふんだんに活用し、どのような表現ができるのか、今後も映像ディレクターとして最新技術の動向を追い続け、弊社をご利用の皆様に様々なご提案をできるよう努めてまいります。
映像制作、オンラインでのイベントに関してのお困りごと、ご相談もお気軽にお問い合わせください。
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著者プロフィール
- ICHIGO ICHIE DIGITAL ショップスタッフ
- 動画撮影・編集・オンライン配信が出来る、撮影スタジオ「ICHIGO ICHIE DIGITAL」のショップスタッフチームです。東京メトロ渋谷駅 地下B1出口より徒歩1分。「伝えたいことを、想いのままに伝えたい。かけがえのない、一期一会の出逢いを創る。デジタルコンテンツづくりをお手伝いします。」をコンセプトに、デジタルサイネージのショールームを併設し、クリエイターがお客様のコンテンツづくりの“お悩み”にお応えする、コンシェルジュサービスを提供いたします。