2020年のはじめから新型コロナウィルスが猛威をふるい、経済活動にも多大な影響をもたらしました。これは企業の採用活動にも大きなインパクトを与え、新卒採用においては採用活動の中止や延期などが発生しました。この記事を読まれている方の中にも、実際に採用活動のなかでご対応に苦慮されていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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当社でも、数年前から新卒採用を強化しよう!と、バックオフィス部門が中心となり、採用活動を行ってきました。
21卒の新卒採用については、3月から自社を会場として、会社説明会を実施していましたが、感染症拡大防止の観点から、学生を招いて会社説明会を実施することが困難になりました。
そういった状況下のなか、オンライン会社説明会を実施した経験があったこと、自社に機器やスペースがあったことで、予定していた会社説明会をすべて「オンライン」に切り替えることができました。
他企業が自社スペース以外の会場を押さえて会社説明会を実施したり、出展予定だった合同説明会が中止になり、新卒採用市場が混乱するなか、当社は、ほぼ採用スケジュールに影響もなく、早期にオンライン対応をすることができました。
1.大量生産される採用ツール
さて、今までの採用活動では、企業は多くの採用ツールを競うように制作していました。
- 会社案内パンフレット
- 採用案内パンフレット
- 募集要項
- クリアファイル
- 企業ロゴが入ったノベルティ
(ボールペンやメモ帳など)
採用担当者は、限られた期間で学生を獲得しようとするために、合同説明会や自社開催の説明会に合わせ、これらを準備し、大量生産、大量配布していた事実があります。ですが、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、ほぼすべての大型合同説明会が中止となり、行き場をなくした採用ツールは破棄されることとなりました。
合同説明会で配布する採用ツールだけで、約800万円の損害が出たという企業もありました。
2.企業を思い出すツールが全て「データ」になってしまった
採用活動がどんどんオンライン化する中で、企業もオンラインの便利さを活用し始めるようになりました。
SNSで告知、オンラインで説明会を実施し、面接もオンラインで行う。内定を出すまで一度も応募者と対面しない、という企業も多く出始めました。
オンラインで学生と接する中で、投影されるスライド資料やプレゼンテーションをもとに、企業の情報や想いを伝えることは可能です。ただ、今まで学生に渡していた採用案内パンフレットなどは、学生にとっては多数説明を聞いている企業のなかから、「企業を思い出すツール」でもあります。
モノと記憶は密接に関係しており、モノとして活かされていた採用ツールがすべてデータに代わってしまうことに、私たちは疑問を感じ、オンラインの時代だからこそ、「モノの良さ」「紙の良さ」を感じて欲しいと考えました。
3.印刷会社が内定通知書を本気で作ってみた
3-1.内定通知書を制作する背景
当社は、今まで応募学生と会うことを重視していたため、内定通知書に重きを置いていませんでした。ただ、印刷会社である私たちにできること、想いを伝えるツールとして、「内定通知書」に注目し、こだわりを持って制作することにしました。
私たちは、ホープン(旧社名:プリントボーイ)を、ただ紙に「印刷をするだけの印刷会社」ではなく、「コミュニケーションをサポートするためのコンテンツづくりをする会社」であると考えています。また、印刷物づくりを通じて、お客様のSDGs推進に貢献できる方法はないか、と常に模索している会社でもあります。
そこで、内定通知書は学生に対して「当社の想いを伝えるコンテンツ」であると考え、この当社の想いを伝えるためにどうすればいいかを検討しました。
3-2.内定通知書とは?
そもそも「内定通知書」とは、企業が採用内定者に対して「内定したこと」を知らせる書類です。内定通知書の発行に法的義務があるわけでなく、その様式や記載項目、発行時期も法的に定まっているものではありません。そのため、内定通知書の記載項目は会社によって様々で、内定通知書を発行せず、口頭やメールで内定の連絡をする会社もあります。
内定者は入社を決断した時、内定承諾書にサインすることで、企業に対して内定を承諾し、入社の誓約をします。学生が「素敵な会社!」「この会社に入りたい!」を思えるツールを作ることを心掛けました。
3-3.人と環境にやさしいフェアトレードペーパー「バナナペーパー」
バナナペーパーは、今までは廃棄されるだけだったオーガニックバナナの茎から取った「バナナ繊維」を原料として使用し、日本の和紙の技術を用いて作られた「フェアトレード」の紙です。見た目もクリーム色がかった色に茶色の繊維が混じった、風合いを感じられる紙です。
このバナナペーパーを使用し、当社の得意であるデザインと加工技術を活かしたツールづくりが始まりました。内定通知書の下部には、バナナペーパーの説明と、バナナペーパーで印刷したマークを入れ、受け取った学生にもそのストーリーが伝わるようにしました。
また、箔押し加工を施すことで、より一層の特別感を出す工夫をしました。
受け取った内定者からは、「こんなストーリーのある紙があるなんで知らなかった!」「素敵な内定通知書です!」と内定の嬉しさとともに、ものづくりの面白さを感じてもらうことができました。
まとめ
紙は場所をとったり、管理をすることが手間になることもあり、一見無駄に感じることもあると思います。オンラインでできることや、オンラインのみで完結することも多い一方で、実際に触れ、「温かみ」を感じることができるのは、紙のメリットでもあります。
今回は、内定通知書というツールを環境に配慮した紙(バナナペーパー)で制作しましたが、企業の顔である名刺や、会社案内、会社案内を入れるスリーブ(紙製のホルダー)などを環境に配慮した紙で制作することで、企業の環境への取り組み姿勢やブランディングを示すことも可能です。
当社では、創業54年の企画制作会社としての知識、経験を活かし、お客様のSDGs推進のサポートをさせていただきますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
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▼ 参考サイト
- バナナペーパー|株式会社山櫻
- 内定通知書とは?採用通知書との違いとチェックポイント|リクナビNEXT
著者プロフィール
- BST編集部
- HOPEN(旧社名:PRINTBOY)の新規事業を企画・運営する部門がお届けする、業務改善お役立ち情報サイト”BST”の編集チームです。多種多様なメンバー+その時々のゲストメンバーで、皆様の日々の業務における”困った””わずらわしい””こうだったらいいのに”を解決する情報をお届けします!