近年、様々な表彰制度が各企業で導入されています。
そしてその充実度やユニークさは、その企業のPRにもなります。
表彰制度を独自で作ったり、他社のものを導入したり、制度自体の数や内容を充実させることは、従業員のモチベーションアップと企業の活性化につながります。
そもそも「表彰制度」とは
従業員の功績を社内で明らかにし、称える制度のことをいいます。例えば従業員が予算を達成したときや、企業で定められた行動指針に対して特に忠実であったときなどに贈られます。従業員にとっては、自身の努力を公に認められる機会でもあります。
表彰制度は、労働基準法89条で就業規則への記載が規定されていますが、その記載内容に決まりはありません。業独自の表彰制度の制定が可能です。
表彰制度のメリット
1. 仕事に対するモチベーションが上がる
人は誰しも、周りから「尊敬されたい」「褒められたい」と思うものです。これは心理学者マズローの「欲求5段階説」*1でも提唱されています。
表彰制度で自分が表彰されることによって今までの努力が報われる、自分の行動が正しかったと「認めて」もらうことができ、次の目標へと繋がっていきます。
また、受賞者だけでなく、表彰をされている風景を見た周りの従業員が「あの人のようになりたい」「あの人の行動が表彰される行動なのか」と思います。その相乗効果でモチベーションが上がる、という副産物も発生します。
*1「欲求5段階説」とは、心理学者のマズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を自己実現の欲求、承認の欲求、社会的欲求/所属と愛の欲求 、安全の欲求、生理的欲求の5段階層で理論化したものです。
2. 功績が目立ちにくい部署やスタッフを平等に評価できる
売上予算やノルマを持っている営業部署は数字という明確な評価指数があるため、ともすると、表彰は営業部署だけというパターンになりがちです。一方でそういった指数を持たない生産部署や経理、人事総務などのバックオフィス部門は「行動」ベースで評価することで、同じ表彰制度の舞台に立つことができます。
例えば、新たな指標として時間生産性で改善度合いを数字で測れるようにするなど、会社の業務改善への取り組み姿勢に行動面に着目して評価をする。バックオフィス部門は日頃から縁の下の力持ちという、評価されにくい部門でもあります。表彰制度という機会を利用することで、貢献している社員にスポットライトを当てることが可能になります。
3. 離職率の低下と愛社精神の醸成
結果だけではなく、努力しているプロセスに注目することで、従業員への適正な評価をすることができ、従業員の「また頑張ろう!」という気持ちが芽生えます。そして、自分の努力をしっかりと見て評価してくれる会社に対して愛着がわき、「会社のために貢献したい」という愛社精神が生まれることで、やる気のある優秀な人材の流出を防ぐことができます。
効果的な、良い表彰制度のポイント
ただ単に表彰制度を行うだけでは、表彰制度のメリットを活かすことはできません。逆に従業員のモチベーションを低下させてしまう危険も大いにあります。良い表彰制度を作っていくためには、3つのポイントがあります。
1. 公平かつ、全社員が対象者であること
「うちの会社の表彰制度は○○部門しか対象じゃないから…」「いつも○○部署ばかり選ばれている…」そんな声が出てしまっては元も子もありません。営業部署を称える表彰が既にある場合は、バックオフィス部門を対象にした賞を増設したり、個人表彰ではなく部署全体を表彰したりと、「自分も取れるチャンスがある」と思ってもらえる表彰制度でなくてはなりません。
2. マンネリ化を防ぐ
すでに表彰制度を行っている場合は、毎年同じ賞にしていないか確認することが大切です。2~3年勤続の従業員であれば問題ありませんが、長年勤務している従業員は、「またこの賞か、自分はチャンスがない」と思ってしまいます。時事要素を加えることや、オリンピックのように数年に1度のクールで発生する特別な賞を追加すると、マンネリ化を防ぐことができます。
3. 表彰の演出は入念に
どんな場所(全社会議など)で、誰がプレゼンターを行うのか、そういった演出の工夫で受賞者の喜びやモチベーションはさらに高まります。会場の演出では、スライドやドラムロールなどの音楽演出をすることも、発表の緊張感を高めて盛り上がる仕掛けになります。プレゼンターは、代表や直属の上司などが担うことをおすすめします。自分の成果を上司から直接言葉で評価してもらえると、やはり嬉しいものです。普段接点が少ない会社の代表であっても、「自分の行動を見ていてくれた」と思うことができます。上司からの評価は「これからも頑張ろう」という意欲につなげられる、大切な要素といえます。また、結果だけでなくその過程も評価するとより効果的です。
表彰制度の参考事例
1. ローソン「自律型挑戦大賞」
おなじみのコンビニエンスストア「マチのほっとステーション」ローソンでは、2015年度に社内表彰制度を刷新し「自律型挑戦大賞」を創設しています。
こちらは自発的なチャレンジを奨励する制度となっています。
例えば、職場での小さな工夫によって大きな効果が得られた事例や、改善されてこなかった業務効率化の取り組みなどがあります。2015年度の応募総数は321件と、表彰制度刷新前の約3倍の応募があったそうです。
成果や数字にとらわれがちな社内制度ですが、ローソンの自律型挑戦大賞は「チャレンジのプロセス」と「仕事に対するスタンス」の評価にこだわっています。誰もがチャレンジできる環境は仕事への意欲を高め、企業の活性化には非常に効果的です。
2. チチカカ「チチ-1グランプリ」
カジュアルエスニックを中心としたアパレルや雑貨を製造・販売しているチチカカでは、「チチ-1グランプリ」という社内表彰制度があります。
売上部門、コーディネート部門、クレド部門(企業理念や行動指針)など、複数の部門で社内表彰を実施しています。なかでも店舗を持つアパレルという強みを活かしたコーディネート部門は、全店舗参加となっています。
本社は部署ごとでの参加と、チーム総力戦でテーマに沿って自社ブランド商品を使ったコーディネートを考え、従業員がモデルとなり撮影を行います。選考を経て最終選考に残った候補はECショップで公開され、お客様投票によってグランプリが決まります。
社内表彰制度の域を超え、エンドユーザーを巻き込んだ一大イベントですが、アパレルを扱う職種として自分の力が評価される企画となっています。
3. ホープン(旧社名:プリントボーイ)の取り組み
弊社ホープン(旧社名:プリントボーイ)では年度末に社内表彰を行っていますが、その年ごとによって表彰内容は異なります。営業部門の従業員を対象とした「達成賞」や、課題改善に取り組む姿勢を評価する「奨励賞」「バックアップ賞」を設けています。
また、若手スタッフを対象とした「新人賞」も設けているため、経験が少なくてもチャンスはあります。個人だけでなく、チームや部署全体を表彰することも多く、受賞したチームは一体感が一層強まっています。
年度末の表彰以外に営業部門では、月次で「達成賞」があります。全社で行う朝礼で発表を行い、代表からのコメントで祝福と更なる活躍を応援しています。
まとめ
表彰制度は、ポイントを押さえて運用することで従業員のモチベーションアップに繋がる制度です。今回ご紹介した表彰制度はほんの一例なので、効果的なポイントをふまえ、自社らしいオリジナル表彰制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ホープン(旧社名:プリントボーイ)では表彰制度や社内報等、社内外のブランディング、イベント企画のお手伝いもさせていただきます。
▼参考ページ
- 労働基準法第89条9項:電子政府の総合窓口 e-Go
- 自律型挑戦大賞:ローソン
- チチ-1グランプリ:チチカカ
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著者プロフィール
- BST編集部
- HOPEN(旧社名:PRINTBOY)の新規事業を企画・運営する部門がお届けする、業務改善お役立ち情報サイト”BST”の編集チームです。多種多様なメンバー+その時々のゲストメンバーで、皆様の日々の業務における”困った””わずらわしい””こうだったらいいのに”を解決する情報をお届けします!