トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」の3色が新商標⁉

トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」の3色が新商標⁉


温故知新
~74才現役デザイナーのつぶやき~

「音」や「動き」、「色彩」といった特徴ある表現を「新たな商標」として登録できる制度が始まって、もう5年になります。
そもそも、ビジネスを行う企業にとっては、会社名にブランド名、商品名、サービス名、ロゴ、耳馴染みのあるCMソング……。
<〇〇と言えば〇〇社>として権利化した「商標」をどのように活用するか……。

「商標」は、ライバル企業と差別化を図りたいと考える時、重要なマーケット戦略です。様々な情報、サービスが溢れる世の中で、顧客がモノやサービスを選ぶ時、真っ先に想起されるイメージの一つが「商標」であり、商標はブランディング活動の一部です。

今回は2015年4月より改正された商標について、解説いたします。

商標とは

事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守る、知的財産権の一つが「商標権」であり、特許庁に出願し登録が認められて初めて権利が発生します。改正以前は文字や図形、記号、立体、それらの結合、それらを組み合わせた色彩が対象でしたが、2015年4月に改正された「改正商標法」で「音」や「色彩のみ」「動き」なども登録ができるようになりました。

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新たに認められた商標は、お馴染みのものばかり?

この新しい改正商標法で最も登録が難しいとされるのは、「色彩のみからなる商標」です。(2019年12月時点で認められているのは8件)そして、「色彩のみからなる商標」として日本で初めて認められた商標第一号は、皆様もおなじみ、トンボ鉛筆の主力商品である「MONO」消しゴムの、「青・白・黒」の組み合わせです。そして第二号として認定されたのは、「セブン‐イレブン・ジャパン」がコンビニエンスストアの看板などに使用している、「白・オレンジ・緑・赤」の4色からなる組み合わせです。

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他との識別力のない表現には商標登録が認められませんが、消費者アンケートの結果、識別力があると証明することができ、商標登録が認められました。

前述のとおり、改正商標法では「音商標」「動き商標」「ホログラム商標」「色彩のみからなる商標」「(図形や文字を商品に付ける)位置商標」の5種が新たに登録できるようになりました。
「音商標」の代表的なものとしては、久光製薬がテレビCMの最後などに流す「ヒ・サ・ミ・ツ」のメロディ、味の素のCM「あじのもと~」のメロディの音程などがあります。

図3-1【コラム・温故知新】トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」の3色が新商標!?.JPG
「動き」については、ワコールの花のつぼみが開いて同社のロゴに変わっていく動き、東宝の映画冒頭に流れる自社のロゴ動画などがあり、「位置」についてはエドウィンがジーンズの右後部ポケットの左上部に付けるタグの位置などがあります。

図3-2【コラム・温故知新】トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」の3色が新商標!?.JPG

商標を登録する意味・メリットとは?

商標そのものには、金銭的な価値はありません。
特許などの創作物と違って、文字や図形、記号、色などの選択物と考えられているからです。商標は使えば使うほど、その商標が使われている商品やサービスの知名度が上がり、信用がアップするものです。この「信用」こそが、商標の価値なのです。この「信用」が蓄積された商標を、他人に勝手に使用されたり、イメージを悪くされたりしたとなれば、大変な損害を被ることでしょう。これを防ぐために、商標を登録して他人が勝手に使用できないようにする。特に日本は「先願主義」の立場をとっていますので、他人に使われたくない商標を先に登録しておくことが重要です。このことが自社の商品やサービスの信用を守ることに繋がるのです。

商標の4つ機能

  1. 識別機能 ――――― 自分のものと他人のものを識別する。
  2. 出所表示機能 ――― どこから発表されたものかユーザーに明確にする。
  3. 品質保証機能 ――― 自分のものと他人のものを識別する。
  4. 宣伝広告的機能 ―― 使うことでより人々に認知される。

商標取得の流れ

商標取得には区分数に応じた費用と、審査のためには時間がかかります。(審査期間の目安

出願がなされた後に商標審査官による審査が行われ、審査を通過したもの(登録できない理由がなかったもの)のみが、「商標登録」を受けることができます。出願や登録(更新)等する際に、所定の料金の納付が必要になります。原則として出願日から2、3週間程度経過後、出願内容が一般に公開されることになります(出願公開)。

審査の流れは以下の通りです。(特許庁:商標審査の流れより引用)

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なお、先に述べた通り、先願主義であることからも、先手で出願をすることは重要です。

先願主義(せんがんしゅぎ)とは

最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度。 例えば、同じ発明をした者が二人いた場合、どちらが先に発明をしたかにかかわらず、先に特許庁に出願した者(出願日が早いほう)が特許を受ける権利を有する。

 

まとめ

商標は、利用者が、ある商品やサービスを他社のものと区別(識別)するための重要な目印であり、利用者が、商品・サービスの出所や品質、魅力を識別するための重要な情報手段です。現代社会では利用者に識別情報を伝達する手段は、従来の文字、記号や図形に限らず、色彩や音、動きなども重要な役割を果たすことが認められており、欧米各国では既に日本に先んじて今回の改正商標法に含まれる要素は商標登録の対象とされていました。これらは、「非伝統的商標」と呼ばれています。
改正前にこの「非伝統的商標」を導入していない国は、先進国では「日本」だけであり、グローバルに展開する日本企業では既に海外での新商標登録の事例は増加していました。

グローバル化が進展し、インバウンド需要も増えていく中で、商標の重要性はますます増していくでしょう。ブランディングにおける重要な施策として、当社も企画・制作のノウハウを活かし、お客様の大切なブランド認知を促進するサポートが出来れば幸いです。

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参考:商標権の他にもある?法律で守られている<知的財産>の権利

知っておくと便利な、ブランドを守るための知的財産の権利を簡単に記します。あなたの業務にもあてはめられるものはあったでしょうか。

l  特許権   ――――― 「発明」と呼べるアイディアや新しい技術。(特許法)

l  実用新案権 ―――― 物の形や構造の改良などの「小さな発明」(実用新案法)

l  意匠権   ――――― 独創的な物の形や模様、色などのデザイン。(意匠法)

l  著作権   ――――― 文学、音楽、絵画、ソフトウェアなどの作品を創作した者が有する権利であり、また、作品がどう使われるか決めることができる権利。(著作権法)

l  著作隣接権 ―――― 歌手や俳優などの実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者など、著作物を伝える人の権利。(著作権法)

【参考】

特許庁:新しいタイプの商標の保護制度

特許庁:初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~

マイベストプロ東京:コラム これまで登録されている「色彩のみからなる商標」の全て

電子政府の総合窓口:e-Gov

文化庁:著作隣接権

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