日本で最初のCIは「風林火山」だったのでは⁉

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公開日:2020/09/25 更新日:2024/03/22
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日本で最初のCIは「風林火山」だったのでは⁉

温故知新
~74才現役デザイナーのつぶやき~


戦国のヒーロー 武将・武田信玄は知性の人であり、クリエイターでもあったのでは…。

それは武田軍が合戦の際押し立てた「風林火山」の旗印が物語っています。
2007年放送のNHK大河ドラマ「風林火山」の中で、あの戦旗を制定する一幕があります。

それは、諏訪攻めのシーンです。

信玄「何か、わが軍の統一や団結の中心となるものはないか。」
家臣「わが武田家には、八幡太郎義家から受け継いだ家伝の“楯無の鎧”があります。」
信玄「いいや、旗印だよ。」
家臣「旗印なら、武田家の家紋があります。」
信玄「もっと明確な、わかりやすい旗印が欲しい。孫子はどうじゃ。」

この会話中に、
「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」
(はやきこと風のごとく、しずかなること林のごとく、しんりゃくすること火のごとく、動かざること山のごとく)
という「孫子の兵法」に登場する言葉が出てくるのです。

家臣「では、火の字を1字だけ大きく書きましょう」
ひと文字だけの旗印なら、好敵手・上杉謙信が例の「毘」を既に使っていました。

信玄「いいや、全部を長大な旗に書くのだよ」
このようなやりとりから、言葉を2行にデザインした武田戦旗が誕生したのです。 

この旗印こそ、日本で最初のCI(コーポレートアイデンティティ)だったのではないでしょうか。信玄は武田軍の理念と戦いに挑む心構えをこの文字に集約し、デザイン化・シンボルにしたのです。
この事実より、信玄は偉大なクリエイターだったとも言えます。

1.武田信玄も導入した「CI(CI計画)」とは

CIとはCorporate Identity(コーポレートアイデンティティ)の頭文字を取った略称です。「企業イメージの統一化」を意味し、企業の理念とイメージの統合活動と言われています。
つまり、活動計画のことで、デザインコミュニケーション時代における経営戦略の一つです。

企業が志向する経営理念や活動を、関係者(社員・顧客・株主・関係企業・地域社会等)により深く理解してもらうことを目指します。統合的で継続的なデザイン活動を通じて、親密なリレーションと信頼関係を創造的につくりあげていくのです。

これを図で示すと、下図のようになります。

【No.10】風林火山用図-A.jpg

1-1.「CI」を構成する3つの要素

CI計画は一見、従来のデザインポリシーという考え方に似ているように思えます。
「統一したデザインで美しく飾り、イメージアップを図る」という、
ややもするとシンボルマークのデザイン先行と各ツールへの展開になりがちですが、CI計画は図のように3つの視点から考案していくことが大切です。

【No.10】風林火山用図-B.jpg
  • MI=マインド・アイデンティティ
    「精神の共有」を示します。経営者から新入社員まで同じ気持ちでいること、心をひとつにして目標に向かうようにするものです。
  • BI=ビヘイビア・アイデンティティ
    「行動様式の共有」を示します。取引先への対応や社内でのコミュニケーション活動、経営者と従業員の行動指針などを通じて、企業の雰囲気や行動様式を好ましく変えていこうとするものです。
  • VI=ビジュアル・アイデンティティ
    「視覚的共有」を示します。マーク、看板、販促ツールなどを企業イメージにふさわしいデザインで統一し、企業イメージの向上を目指すものです。

2.「CI」導入の進め方〈CI計画実践のフローチャート〉

以下のフローのように進めていきます。

【No.10】風林火山用図-C.jpg

3.CIはなぜ必要なのか?

CIの必要性が高まった背景には、2つの要因があります。
それは、「経営環境の激変」と「情報・メディアの氾濫」です。

3-1.経営環境の激変

世界各国の企業は1990年代ソ連の社会主義体制崩壊をきっかけに、国境や業界を超えて競争を始めるようになりました。このような状態のことを、大競争時代(メガコンぺティション)といいます。こういった経営環境の変化により、企業理念や企業行動の明確化、企業文化の形成による企業像の確立(差別的優位性の確立)は企業において重要視されるようになります。
つまり、差別化戦略の実践が必要とされるようになったのです。

3-2.情報・メディアの氾濫

2000年以降には街に広告が氾濫し始め、その状況は視覚公害と呼ばれるほどになりました。情報・メディアが氾濫する中、企業の実態を視覚的に体系化すること、ビジネスコミュニケーションツールをシステム化することは重要視されるようになります。つまり、コミュニケーション戦略の実践が必要とされるようになったのです。

今日の企業間の競争は製品やサービスの品質・価格による競争から、企業そのものの認知競争(存在・ブランド)や伝達力競争へと変化しています。CIを差別化戦略・コミュニケーション戦略の一環として意識的・計画的に導入し、有効に機能させることにCIの必要性があるといえるのです。

まとめ

冒頭に武田信玄の「風林火山」の例を出したように、CIは集団で行動する中で重要な役割を果たしてきたということが時代を通して分かります。社会の変化に応じて、企業も変化していく必要があります。従業員へのヒアリング等含め、定期的にCIを見直すことは企業として大切なことで、企業の成長を支える柱ともいえます。

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BST編集部
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