水資源を浄化する「葦(ヨシ)」で繋がるSDGsな未来|「越前和紙 ヨシ紙」

水資源を浄化する「葦(ヨシ)」で繋がるSDGsな未来|「越前和紙 ヨシ紙」

創業50年の印刷会社が提案する「気軽に取り組むSDGs!」Vol.9

この記事はプリントボーイが創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した記事となります。記事で紹介しました環境に優しい用紙の実物を “お元気ですかはがき”としてご希望のお客様のお手元にお届けいたします。記事とあわせて是非ご覧ください。

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暑くなり、水辺でレジャーを楽しむ方も増える季節!ラフティング、川下り、釣り、キャンプなど自然に親しみアウトドアな遊びを楽しまれる方も多いのではないでしょうか。そんな川辺でかつては全国で見られた「葦(ヨシ)」という植物があります。この「葦(ヨシ)」は、光合成で酸素を生成するだけでなく、土や水中に含まれる窒素やリンを吸収して水を浄化し、川辺の生き物の住みかとなっています。

それだけではなく、その「葦(ヨシ)」の多年草という特徴から、日本の伝統技術である越前和紙の製法で木材の代替紙とする取り組みがあります。今回は「葦(ヨシ)」の活用を通じてサステイナブルな未来へにつながる、「越前和紙 ヨシ紙」をご紹介させていただきます。

 

1.ヨシ紙の素材「葦(ヨシ)」 とは?

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「葦(ヨシ)」は「アシ」とも呼ばれ、世界中の亜寒帯から暖帯にかけての水辺に群生しています。湖や河川はもちろん、湿地や海と川の水が混ざる場所(汽水域)にも群生することができます。簾(すだれ)や、茅葺(かやぶき)屋根の材料にもよく使われています。

「葦(ヨシ)」は、ほかの植物と同様に、秋には穂をつけてその中に小さな種をつくり、種を播くと初夏には芽を出し成長します。

見た目は、イネやムギに近いところもありますが、大きな違いは多年草であることです。

イネやムギなどの一年草は、種をまいたその年のうちに発芽し、花が咲き、種をつけ、枯れてくことに対して、多年草は植えっぱなしで毎年同じ時期に開花し、刈り取ってもまた翌年に同じように成長するため、一つの株から繰り返し収穫をすることができます。一方で、成長を続けるため刈り取りなどのメンテナンスが必要になることも。

「葦(ヨシ)」は、光合成で得た養分を7月下旬ごろから地下の茎(地下茎)に養分を蓄えて、春に地下茎から新しい芽を出し大きく成長します。また、地下茎自体も地中を横に伸びて成長し、その結果ヨシ原はぐんぐん広がっていき大群落をつくります。

地下茎の節からはひげ根がたくさん出ていて、地下部分はマットのように地下茎や根が絡み合っています。 乾燥重量で地上部の約2倍もの量が地下部に存在するため、根や茎で砂や泥などの軟弱な地盤を支える役割を担っています。根の一部は地下深く伸び、250cm以上深く掘ってもまだ根が伸びていたという記録があります。

 

2.湖川のバランス名人「葦(ヨシ)」

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画像:山田兄弟製紙(株)提供

2-1. 水のバランスを保ち、水質を浄化する機能

「葦(ヨシ)」は、は水辺に多く生える植物で、河川などの水中に含まれるリンや窒素、二酸化炭素を吸収して育ちます。

リンや窒素は、水の富栄養化の要因です。自然は生物が一定のバランスを保つことで守られているため、栄養分が多い状態が続くと自然のバランスがくずれてしまいます。これらを吸収する「葦(ヨシ)」は、自然環境の均衡をとり、結果として水質を浄化する作用があります。

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画像:山田兄弟製紙(株)提供

■ヨシ群落のはたらき

「葦(ヨシ)」は、は成長して広がっていき大きなヨシ原をつくります。ヨシ原ではヨシのほかに、マコモ、カサスゲ、オギ、ウキヤガラ、シロネなどの野草、ヤナギ、ハンノキなどの樹木など、様々な植物が共生しています。また、多くの魚や鳥の棲みかとしていて、これを「ヨシ群落」と呼んでいます。

■水をきれいにする

ヨシ群落には水をきれいにする3つのはたらきがあります。

  • 「葦(ヨシ)」によって、水の流れを弱くして、水の汚れを沈めるはたらき
  • 「葦(ヨシ)」の水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解するはたらき
  • 「葦(ヨシ)」水中の窒素、リンを養分として吸い取るはたらき

■魚や鳥の棲みかとして

ヨシ群落では、多くの魚の卵が産み付けられます。卵からかえった小魚は、餌場や隠れ家としてヨシ群落の中で育ちます。コイ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、ホンモロコなどはヨシ群落内に卵を産み、小魚の時はヨシ群落の中で生活します。また、滋賀県では約280種類もの野鳥が観察されていますが、多くの野鳥がヨシ群落を利用しています。それぞれ卵を生んで子供を育てたり、餌を獲ったり、敵から逃げてきたり、ネグラにしたりしています。また、きれいなヨシ原には、コハクチョウ、オオヒシクイなどの冬鳥が飛来し、越冬地として過ごすともあり、美しい景観づくりに寄与しています。

2-2. 問題点

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全国各地に「葦(ヨシ)」は分布していますが、特に多く生息が確認されている琵琶湖には、昭和28年頃230haものヨシ原がありました。「葦(ヨシ)」は、簾(すだれ)や茅葺(かやぶき)などで活用されていましたが、現在は生活様式の変化や海外の安価な製品に押され半減し、衰退の一途をたどっています。立ち枯れした「葦(ヨシ)」は、冬の間に刈り取りを行わないと、枯れたまま河川に流れ出し、来春に芽が出にくくなります。毎年刈り取りが必要な植物ですが、放置されたり、刈り取った後の焼却処理で出る灰の飛散が問題となっています。

2-3. 現状

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※「葦(ヨシ)」の刈り取りの様子 画像:山田兄弟製紙(株)提供

しかし、水をきれいにするヨシ原の重要性が見直されて、平成4年に「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」が制定され、滋賀県で琵琶湖の「葦(ヨシ)」の刈取や植栽などの管理が行われています。また条例の趣旨を受けて、市民ボランティア・地元自治会のヨシ刈りやヨシ植栽などの活動が活発化しました。さらに、小学校などの地域で「葦(ヨシ)」を学ぶ学習も盛んになりました。

刈り取った「葦(ヨシ)」を紙や筆などで天然繊維として活用することは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に寄与する試みとしても注目されています。水質環境を整える「葦(ヨシ)」で、植える・刈る・作る・使うというアクションを起こすことでサスティナブルな未来に繋がります。

 

3.越前和紙由来「ヨシ紙」

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画像:山田兄弟製紙(株)提供

3-1. 越前和紙とは

福井県で主に作られている和紙の一種で、「紙王」とも称されています。室町時代から江戸時代にかけて公家や武士階級の公用紙として使われ、全国に広まっていきました。植物の皮を原料にして漉いた和紙は、やわらかく温かみがあり、それでいて公用の免状にもつかわれるほど高品質なものです。

1976年に経済産業大臣より国の伝統的工芸品に指定された越前和紙の歴史は、おおよそ1500年前にさかのぼります。男大迹王(をほどのおおきみ・後の継体天皇)が越の国・越前地方を統治していたとされる5世紀末頃、岡太川の川上に美しい女性が現れ、村人に紙漉きの技術を丁寧に教えた、といわれています。その技術こそが越前和紙の技術です。

「川上に住んでいるものだ」とだけ話した女性は、彼らに川上御前として崇められ、紙祖神として現在も岡太(おかもと)神社に祀られています。紙の神様を祀っている神社は、日本でも唯一です。現在当たり前となっている透かし法を編み出しているのも越前和紙といわれ、1500年の歴史の中で、紙を愛し、尊び、紙に対して親近感を持つ精神が、たしかな技術とともに受け継がれています。

3-2. 越前和紙のヨシ紙

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画像:山田兄弟製紙(株)提供

越前和紙は、もともと植物を原料にして漉いたものです。美しさと丈夫さで、古くから最高品質の和紙で、柔らかな風合い、色合いをもち素朴な温かさを持ちます。和紙は製作途中で廃棄することはほとんどありません。制作に失敗した和紙や、裁断した端は溶かして原料に戻し、再利用することができます。日本古くから原生する植物を、日本の歴史ある伝統技法で新たな商品として生まれ変わらせ、加えて環境保全にも役立っているヨシ紙は、日本独自の表現技術といえます。

山田兄弟製紙のヨシ紙は、「葦(ヨシ)」をそのまま和紙に漉き込む方法をとらず、葦を一度パルプに加工して、そのヨシパルプを配合した和紙を漉いています。パルプ加工時に、過分な漂白などを行わずに作られたヨシ紙は、ほんのりと茶色がかかり、和紙にすると暖かなぬくもりを感じられ、優しい手触りをしています。

3-3. 活用方法

ヨシ紙は、越前和紙の技術を用いているため丈夫です。多彩な場所で活用ができます。環境保護活動の一環として、封筒、はがき、便箋、名刺などに使用されています。また、ランプシェードや時計など、越前和紙を生かしたインテリアとして活用されている地域もあります。教育関連業界のお客様には、賞状、ノート、コースターやしおり等で使用して、環境保護活動に触れる経験をつくっていただくこともおすすめです。

そして、ヨシ紙はバナナペーパー同様循環型の環境配慮紙です。本来廃棄されるものを新たな資源に生まれ変わらせていることから、大量消費ではなく循環型で地球に優しい企業、というブランディングを構築できます。また、そこで働く従業員の方や、これから働きたいと思っている新卒の方にとっても、環境配慮に繋がる取り組みをしている企業であることを伝えるツールづくりにも役立つかと思います。

加えて日本独自の越前和紙技法を使用してつくられた紙のため、海外へ進出される企業様にとっては、海外顧客に興味をもっていただけるきっかけ作りにもなります。また、「葦(ヨシ)」と「良し」をかけて、縁起かつぎとしてお祝いごとに使用されても良いかもしれませんね。

 

4.まとめ

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これまで、サトウキビのしぼりかすから生まれたバガスペーパー、地球に無尽蔵にある資源、石灰石で作られたLIMEX(ライメックス)、廃棄されてしまうお米を使用した「kome-kami」など環境に配慮した「素材」をご紹介させていただきましたが、

今回は、新に土や水中に含まれる窒素やリンを吸収して水を浄化し、川辺の生き物の住みかとなっている「葦(ヨシ)」を越前和紙の技法で用紙に加工し、その製品を使うことでサスティナブルな未来を目指せる「ヨシ紙」についてご紹介させていただきました。多年草である「葦(ヨシ)」には一度刈り取ってもまた同じ株から育つという特徴があり、紙を作るための木材の代替としても活用が期待されています。

 私たちプリントボーイは、紙のご紹介・活用の仕方をご提案させていただくことを通じて、社会のSDGs推進のお手伝いに取り組んでいます。気軽に取り組むSDGsとして、ツールづくりのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください!

 

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